手数料に気づく
買う・持つ・売るでかかる費用の種類。
投資の費用は、買うとき・持っている間・売るときの3つに分かれる。自分で振り込む形ではなく、払う額や預けた資産から差し引かれるので、気づかないまま払い続けることになりやすい。かかる費用の種類を、順に押さえる。
買うときにかかるのが購入時手数料で、申込価額の数パーセントを販売会社に直接払う(資産運用業協会)。この手数料が無いファンドはノーロードと呼ばれる。株式や上場投資信託のように取引所で売買する商品では、注文のたびに証券会社へ払う手数料が主な費用になる(投資の解説チャンネル The Plain Bagel のリチャード・コフィン)。手数料には投資額に比例して増える型と、金額にかかわらず同額の型があり、25ドルの手数料は100ドルの注文と1万ドルの注文でまったく重さが違う。少額で何度も売買する人ほど、定額の手数料が効いてくる。
持っている間ずっとかかるのが信託報酬で、保有額に応じて日々、信託財産から差し引かれる。受け取るのは運用会社・販売会社・信託銀行の3者で、純資産総額を基準に、運用実績にかかわらず引かれる(日本証券業協会の用語集)。請求書は届かない。運用会社への報酬は毎晩少しずつ負債として計上され、その分が毎晩の基準価額に織り込まれるので、証券口座から引かれる形では現れない(ETFcom)。持っている間の費用が、いちばん忘れやすい費用になる。
信託報酬を払えば費用が終わるわけではない。監査報酬は原則として決算ごとに、売買委託手数料は中身の株式などを売買するたびに、やはり信託財産から間接的に引かれる(資産運用業協会)。売買委託手数料は運用した結果として決まるので、買う前に金額を示せない。実際にいくら引かれたかは実質コストとして、決算ごとの交付運用報告書で確かめる。ほかのファンドを組み入れて運用する型は、組み入れ先の信託報酬も間接的に負担する。ファンドの保有と取引のデータから推計した売買コストは、平均すると経費率より高く、成績に悪い影響を与えていた(エデレンら、2013年の論文)。
売るときに引かれることがあるのが信託財産留保額で、購入または解約のときに、販売会社ではなく信託財産に残される。解約でファンドが中身を売る費用を、残る投資家に押しつけないための設計で、差し引くファンドと差し引かないファンドがある(資産運用業協会)。取引所で売買する商品なら、売るときにも買うときと同じ手数料がかかる。
やりがちな失敗は、目立つ費用にだけ反応することだ。約30年分のファンドの資金の出入りでは、前払いの手数料が高いファンドには資金が入りにくい一方、毎年かかる運用費用の高低とは関係が見られなかった(バーバーら、2005年の論文)。運用費用に含まれる販売と広告の費用が、この結果の説明になる(同論文の著者らの解釈)。観察して見つけた関係で、原因とは言えない。
逆に、費用の低さだけで選ぶのも失敗になる。債券に投資するファンドは株式のファンドより費用が低いのが普通だが、株式と同じ水準の見返りは期待できないので、費用で何を賄っているかを合わせて見る(The Plain Bagel)。確かめる手順は2段に分かれる。まず交付目論見書の「ファンドの費用」の欄で、購入時手数料・信託報酬・信託財産留保額という、買う前に分かる3つを読む。次に交付運用報告書で、その期間に実際にかかった費用を見る。買う前に分かる費用と、持ってみて初めて分かる費用を分けて並べれば、気づかないまま払う額は減る。
