声の支え
息と支え
息が逃げないようお腹で受け止める感覚
どういう技術?
吐こうとする力に対して、お腹まわりが少しだけ抵抗する状態のことです。支えがないと息は一気に出てしまい、代わりに喉が止めようとして締まった声になります。うまくいっているときは、腰の横やみぞおちの下に軽い張りが残る程度の手ごたえがあり、力任せの感じはありません。
やり方
椅子に座り、座面のふちを両手で軽く持ち上げながらアーと伸ばします。持ち上げる力でお腹が自然に固まり、それが支えの感覚です。次に手を離し、同じ張りを保ったまま5秒伸ばします。腹式呼吸で吸ってから始めると差が分かりやすく、店の椅子でもそのまま試せます。
練習のしかた
壁に背中とかかとを付けて立ち、5秒のアーを10本。腰の後ろが壁から浮きすぎないことが目安です。1回5分を週4日ほどで足ります。筋力ではなく使い方なので、早ければ3週間ほどで息が減らない感じが出てきます。歌の中では、長く伸ばす場所の最後の1秒で確かめられます。
やりがちなミス
固めること自体が目的になると全身に力が入り、息が動かなくなって逆効果です。支えは息を止める装置ではなく、出る量を一定にするためのものと考えます。食後すぐは腹圧をかけにくく気分も悪くなるので、食事から1時間は空けます。痛みが出るやり方は間違っていると思って構いません。
解説動画: 息を支えるポイントとは?体のどのポイントを意識すればよいのか?/車田和寿-歌の翼に
支えは2つの力の釣り合い: 支えとは、内側から外へ広がろうとする力と、外側から内へ向かう力がぶつかり合った状態。一箇所だけを意識すると横隔膜を押さえ込む動きになり、硬い声になる。2つの力が拮抗するから安定するが、止まっているわけではなく絶えず動き続けている。
みぞおちの下の一点: 肋骨の分かれ目から指3〜4本下を、力を入れずに指で押す。息を吸うとその点が外へ押し返され、そのまま吐くと奥へ入っていく。歌うあいだは吐きながらも少しだけ外へ出ようとする動きを続け、広がった横隔膜をできるだけ保ったまま息を送る。
腰のうしろも同じ: 横隔膜は肺を囲むように付いていて、後ろ側は腰のあたりまで届く。背中の腰に手を当てて吸うと、その周りが膨らむのが分かる。歌う間はそこが広がり続ける意識を持つ。ただし横隔膜は面なので、一点ではなく面全体をイメージできるのが理想だとしている。
下腹から上へ返す力: 息を吐くとき、下腹のあたりが拳を握るように少しだけ上へ向かって緊張し、吐き終わったら緩める。この下から上への力が、みぞおちの下の点の内側へ入り込むところが支え。腹筋の内側にある呼吸の筋肉の働きだが、医学ではなく感覚を言葉にしたものと断っている。
ピザ生地と肩の力: 横隔膜は、職人が回して広げるピザ生地のようなもの。支点に乗って自分の重さで広がっていく。だから肩や首の力を抜くほど重さを預けられる。肩まで力むと重さがかからず、肩を押されると後ろへ倒れるような状態になる。部分ごとに切り離さず、連動した動きとしてつかむまで練習する。