好きな曲と歌える曲は違う

自分に合う曲を選ぶ

場面: 友達と

好きな曲と歌える曲は違うのは、好きになる理由と歌える条件が別々に決まる仕組みです。

何の話?

聴いて好きになる要素と、自分の声で成立する要素は別々に動きます。好きな曲は作った人の声道の形で鳴っていて、真似しても同じにはならないものです。声楽専攻の学生のX線画像132枚を調べた研究(Roers・Mürbe・Sundberg, 2009)は、声種ごとに声道の長さが系統立って違うと報告しています。歌える曲は、息が続き、音が届く曲のことで、両方が重なる曲は思っているより少ないと考えておくと落ち込みません。

どうするか

好きな曲を十曲書き出し、サビの終わりまで順に歌ってみます。歌い切ったところでまだ息が余っている曲に印を付けてください。残ったものが持ち歌の候補です。外れた曲は消さず、練習用と聴く用に分け直します。仕分けの基準は練習に向く曲の条件と合わせると決めやすく、三曲も残れば宴会で困りません。

つまずくところ

好きだからと歌えない曲を人前で出し続けると、歌うこと自体が苦しくなることがあります。2〜25歳129人をMRIで測った研究(Fitch・Giedd, 1999)は、声道の長さが身長・体重と正の相関だったと報告しており、体つきが違う分だけ届かない声もあると割り切ってください。人前で試すのは三回以上ひとりで通してからで、キーを下げた形も用意しておくと当日に戻る場所ができます。

出典

  1. 論文・英語 Roers F・Mürbe D・Sundberg J/The Journal of the Acoustical Society of America(2009) Voice classification and vocal tract of singers: a study of x-ray images and morphology
  2. 論文・英語 Fitch WT・Giedd J/The Journal of the Acoustical Society of America(1999) Morphology and development of the human vocal tract: a study using magnetic resonance imaging

解説動画: 【カラオケ】その選曲 損していませんか?自分の魅力を100%だせるオススメの曲教えます/しらスタ【歌唱力向上委員会】

歌いたい曲と、自分が生きる曲: 「高い声が出るなら高い曲」「リズムに自信が無いならバラード」という当てはめを、講師は全部違うと切り捨てる。歌いたい曲を歌えるようにするのがトレーナーの仕事だが、カラオケではたまに自分のいいところを100%生かせる選曲をできるように、という前提で声を5タイプに分けていく。

高くて強い声が出るタイプ: このタイプは歌唱力で知られる歌い手の難曲に真正面から挑みがちで、声の高さだけでは届かずリズムや抑揚の差で評価されにくい。勧めていたのはアニメソングやアイドルソングで、構成がシンプルなぶん高くて強い声がそのまま生きるという理由だった。

高い声が出ないタイプ: 最近の曲は高すぎて楽しみきれないという人向け。女性は男性の曲を原曲キーのまま歌うとちょうどよく収まる。男性は女性の曲を+4して1オクターブ下で歌うのを勧めていた。男性曲を下げてもいいが「下げないと歌えないのか」という目線が気になるなら、という言い方だ。

何を歌ってもモノマネになるタイプ: 何を歌ってもその歌い手に寄ってしまうのは、耳が良く、聴いたものをそのまま出せる才能の裏返しだと講師は言う。対処は王道の定番を避けて、歌い手が有名でもアルバムの奥に入っている曲を選ぶこと。原曲を誰も知らなければモノマネかどうか判断されず、自分の持ち歌のように受け取られる。英語への反応も良いはずだからと洋楽ポップスも挙げていた。

特徴が無い/リズムに自信が無い: 「特徴が無い」は音感とリズムがある程度良い証拠なので、まず自信を持っていい。ただ誰でも歌いやすい定番曲を選ぶのは武器の無い状態で戦いに行くようなもので、勧めていたのはアップテンポ。リズムに自信が無い人は、最近の曲はバラードでもリズムが複雑なので、1995年より前の昭和歌謡や演歌へ。