部屋の広さと響き
部屋と設備
どこで使う: カラオケ店
部屋の広さと響きは、部屋の大きさで変わる声の返り方。
どういうもの?
カラオケの部屋は、広さと壁・天井などの吸音で響きの長さが決まります。響きの長さは、音が60dB下がるまでの時間(残響時間)で測り、部屋の容積と吸音の両方で決まります。目安は、コンサートホールで約1.7〜2.05秒、教室では1秒未満です。小さい部屋では長い残響は得にくく、布やソファが多い部屋は残りが短くなります。声は直接耳へ届いたあと、壁や天井からの反射が少し遅れて届き、それが重なって残響になります。ジョージア州立大学の物理解説は、残響は距離で弱まる音を補う一方、多すぎると音が混ざって濁ると説明します。
使い方・設定の目安
入ったら、一曲目の前に手を一度たたいて、音の残りを聞きます。残りが長く言葉が濁ると感じたら、子音をはっきり置き、語尾は早めに切ります。Pelegrín-García らの話し声の実験(2011年)では、4つの部屋で13人の男性に話させ、部屋が音を強く返すほど声量を下げました。この研究は歌を測っていないので、響きの多い部屋では声を張りすぎないよう一曲ごとに確かめます。響きが少なく物足りないときは、エコーを足す前にマイクを口へ少し寄せ、声量は一段ずつ上げます。
注意・トラブル
響きの多い部屋は歌っていて気持ちよく、つい声を張りすぎて喉を痛めることがあります。残響が多いと音が混ざり、言葉が濁って聞こえます(ジョージア州立大学の物理解説)。ソファやカーテンのように吸音の多い部屋では響きが短く、同じ店でも部屋ごとに聞こえ方が違います。同じ広さでも吸音が多い部屋は残響が短くなり、響きは部屋の広さだけでは決まりません。声のかすれ・痛み・音域の変化が続くときは、無理に歌い続けず耳鼻咽喉科へ相談してください。
出典
- 論文・英語 Pelegrín-García D ほか(The Journal of the Acoustical Society of America)(2011) Vocal effort with changing talker-to-listener distance in different acoustic environments
- 資料・英語 R. Nave/HyperPhysics(ジョージア州立大学の教育サイト) Reverberation Time
- 資料・英語 R. Nave/HyperPhysics(ジョージア州立大学の教育サイト) Reverberation
解説動画: 部屋の音を良くしてスピーカーの能力を100%引き出す/創造の館 Technical Report
響きを濁す定在波: 部屋の音を悪くしている主犯は定在波。向かい合う面のあいだを音が反射して往復するうちに、特定の周波数だけが持ち上がる。低音がボワボワ響く、音の位置がぼやけるのはこれが原因で、一般の室内ではここを抑えれば対策はほぼ足りると言い切っている。
吸音材は厚みで決まる: 吸える周波数は厚みで、効きの大きさは面積で決まる。低い音を吸うには最低200mm、できれば300mmの厚さが要り、薄いものをぺたぺた貼っても効かない。しかも壁一面を吸うと残響まで落ちて響きの無いつまらない音になる。定在波を減らせば残響が減り、残響を残せば定在波が目立つ、という綱引きになる。
コーナーだけを吸う: 定在波のかたちは無数にあるが、部屋のコーナーはどのかたちでも音が濃くなる場所。だからコーナーに吸音材を置けばまとめて抑えられる。次に効くのが隅に沿った線で、壁全体を覆わないぶん残響は残る。響きを保ったまま定在波だけ削る答えがここになる。
水槽の模型で確かめる: ガラス水槽を部屋に見立て、コーナーにICレコーダーを置き、外のスピーカーで揺すって測る実験。八箇所のコーナーに20mm厚を入れるとピークが軒並み下がり、上下の隅にも足すと1kHzから上は跡形もなく消えた——やりすぎの例として出てくる。実寸では寸法比10倍にあわせて200mm厚へ拡大する。
効きすぎの目安は残響: 実際の部屋では200mm厚のクッションをコーナーへ押し込み、上下方向の75Hzは共振倍率が半分になった。置いた直後から暗騒音が静かになり、低音が弾んで音の位置がはっきりしたという。ただし残響は0.24秒まで落ちてスタジオ並み。目安は0.4〜0.5秒なので、響きが欲しければコーナーだけで止める。