部屋の広さと響き

部屋と設備

部屋の大きさで変わる声の返り方

どういうもの?

声は壁や天井ではね返って耳へ戻ります。狭い部屋ほど反射が早く戻り、自分の声が近く太く聞こえます。広い部屋は反射が遅れて散るので、同じ声量でも薄く物足りなく感じます。二人用の小部屋と十人以上の大部屋では体感の声量がまるで別物で、同じ曲でも力の入れ方が変わります。板張りの壁はよく響き、布やソファの多い部屋は残りが短くなります。

使い方・設定の目安

座る前に手を一度たたいて響きの残り方を聞きます。音の尾が半秒ほど引く部屋は言葉が濁るので、子音を強めに置き、語尾は早めに切って輪郭を出します。響かない部屋は物足りませんが、エコーを足す前にマイクを口へ三センチほど寄せます。それでも薄いと感じたら目盛りで一段だけ上げ、一曲歌ってから決めます。

注意・トラブル

響きの多い部屋は歌っていて気持ちよく、つい出しすぎて喉を痛めます。ソファやカーテンが音を吸うため、同じ店でも部屋ごとに聞こえ方が違います。人が増えると服や体が吸音材のように働くので、席が埋まるほど響きが減ります。最初の設定のまま最後まで押し通さず、三十分に一度は耳で確かめてください。

解説動画: 部屋の音を良くしてスピーカーの能力を100%引き出す/創造の館 Technical Report

響きを濁す定在波: 部屋の音を悪くしている主犯は定在波。向かい合う面のあいだを音が反射して往復するうちに、特定の周波数だけが持ち上がる。低音がボワボワ響く、音の位置がぼやけるのはこれが原因で、一般の室内ではここを抑えれば対策はほぼ足りると言い切っている。

吸音材は厚みで決まる: 吸える周波数は厚みで、効きの大きさは面積で決まる。低い音を吸うには最低200mm、できれば300mmの厚さが要り、薄いものをぺたぺた貼っても効かない。しかも壁一面を吸うと残響まで落ちて響きの無いつまらない音になる。定在波を減らせば残響が減り、残響を残せば定在波が目立つ、という綱引きになる。

コーナーだけを吸う: 定在波のかたちは無数にあるが、部屋のコーナーはどのかたちでも音が濃くなる場所。だからコーナーに吸音材を置けばまとめて抑えられる。次に効くのが隅に沿った線で、壁全体を覆わないぶん残響は残る。響きを保ったまま定在波だけ削る答えがここになる。

水槽の模型で確かめる: ガラス水槽を部屋に見立て、コーナーにICレコーダーを置き、外のスピーカーで揺すって測る実験。八箇所のコーナーに20mm厚を入れるとピークが軒並み下がり、上下の隅にも足すと1kHzから上は跡形もなく消えた——やりすぎの例として出てくる。実寸では寸法比10倍にあわせて200mm厚へ拡大する。

効きすぎの目安は残響: 実際の部屋では200mm厚のクッションをコーナーへ押し込み、上下方向の75Hzは共振倍率が半分になった。置いた直後から暗騒音が静かになり、低音が弾んで音の位置がはっきりしたという。ただし残響は0.24秒まで落ちてスタジオ並み。目安は0.4〜0.5秒なので、響きが欲しければコーナーだけで止める。