スマホでの録音チェック
家で歌う
どこで使う: どちらでも
スマホでの録音チェックは、手持ちの端末で自分の歌を確かめる手順。
どういうもの?
手元の端末で自分の歌を残し、あとから聞き返して確かめるやり方です。内蔵マイクは大きな声を受け止める余裕が小さく、張るとすぐに音が割れますが、音程と言葉の輪郭を確かめるだけなら十分に足ります。動画で撮れば口の開きや姿勢のくせまで一度に見直せ、直す点を絞りやすくなります。録音の声に違和感があるのは自然なことです。スイスのローザンヌ工科大学(EPFL)のチームは、話している最中は骨を伝わる音も一緒に耳へ届くため、その分を含まない録音の声を別人のように感じやすいと説明します。
使い方・設定の目安
端末は口から13〜15センチほど離し、毎回同じ位置に置きます。アメリカのデイトン大学図書館が作った録音ガイドは、この距離を目安に静かな部屋を選び、機内モードにして着信音を防ぎ、手に持たず机や台に立ててさわる音を拾わせないよう勧めます。カーテンやソファなど柔らかいものがある部屋は反響が少なく声が聞き取りやすいとも助言します。週に一度、同じ一節だけ録って日付を添えて残します。聞くときは一回目は言葉、二回目は音程と決め、直す点をひとつだけに絞ります。観点は録音機能と同じで構いません。
注意・トラブル
音量が振り切れると波形の頭が削れて音が割れ、強弱の差までつぶれて聞こえます。せっかくの抑揚が確かめられないので、少し離すか声を七割ほどに落として録り直します。内蔵マイクは音量を自動でならす機種も多く、実際の声量差より小さく録れることがあるため、大小のつけ方まで見たい日は別の記録と併用します。人と一緒の部屋で録るときは同席者に一言、外へ出すときは楽曲の権利が絡む点も忘れずに。録音の自分の声に違和感を覚えても、それはヘッドホンでのモニターと同じしくみのずれで、下手になった証拠ではありません。日をまたいで聞くと粗が見つけやすくなります。
出典
- 論文・英語 Pavo Orepić・Oliver Alan Kannape・Nathan Faivre・Olaf Blanke/Royal Society Open Science(2023) Bone conduction facilitates self-other voice discrimination
- 資料・英語 University of Dayton Libraries(オーラルヒストリー録音ガイド) Tips for Recording Audio on a Phone
解説動画: 【自分の声】録音した時に気持ち悪い、嫌いだと感じる理由と改善方法/けいたんの歌うま増やします。
録音だと別人に聞こえる: 歌っているあいだ本人には、骨格の中を伝わる声と空気を伝って届く声の二つがブレンドされて聞こえている。録音になると外からの一本しか残らないので、聞き慣れた自分の声とズレる。だから気持ち悪く感じるのは無理もなく、そのズレを埋めていく努力が要る、という立て方をしている。
先に理想の声を決める: ズレを埋めるには出したい声をはっきりさせるのが先で、目標が無いまま録音を聞いても直しようがない。思い当たらないなら、いろんな歌い手を聴いて一人見つける。声帯の形も骨格も人それぞれだからそっくり同じ声にはならないが、近づけることはできると言い切る。話し手自身も始めた頃はこもって抜けの悪い声だったという。
声を変える三つのつまみ: 意識するのは喉の開き具合・声帯の使い方・声を出す方向の三つ。喉は大きく開いた声と狭めた声を両端に、その間を細かく調整できる。声帯は強く閉じるほど張った力強い声、開くほど息の混じる優しい声。方向は前・後ろ・上・下で印象が変わり、三つの組み合わせで出せる声は無数になる。
録音しながら寄せていく: 試すときは必ず録音する。聞いて理想と違えばまた変化を加えて録り直す、面倒でもこの往復を続けるように言っている。ただし三つとも無駄な力が抜けて楽に声が出せる状態が土台にないと不安定で、変な癖がつきやすい。自分ひとりで正しく意識するのは難しい部分でもある、と注意も添えている。