ヘッドホンでのモニター

家で歌う

自分の声を耳で確かめながら歌う方法

どういうもの?

歌っている最中の自分の声を、耳をふさいだ状態で聞きながら進めるやり方です。歌う人の耳には骨を伝わる声と空気を伝わる声が混ざって届きます。耳の穴をふさぐと骨から来た低い成分が外へ逃げ場を失って強まり、音程の狂いには気づきやすくなる反面、実際より太く上手に聞こえます。

使い方・設定の目安

片耳だけ当てて、もう片方は開けたままにします。伴奏に対して自分の声はわずかに小さめ、耳が痛くならない音量で止めます。返りの遅れが少ない有線のほうが歌いやすいです。五分ほど歌ったら一度外し、何もつけずに同じ一節を歌って、生の声との差を確かめてください。

注意・トラブル

自分の声が小さく聞こえると、人は無意識に張り上げます。音量は上げる方向ではなく、下げて声を探す方向で合わせてください。大きな音を一時間以上浴び続けるのは耳の負担になります。歌い終えたあとの耳鳴りやこもった感じが翌日まで残るようなら、自分で判断せず耳鼻咽喉科で相談してください。

解説動画: 歌手がイヤモニをつける本当の理由。【明日から使えるボイトレ雑学】/しらスタ【歌唱力向上委員会】

耳と脳をぐるぐる回す: 歌は念じれば当たるものではなく、出した声を耳で聞いて脳が次の一声を補正する聴覚フィードバックを高速で回しながら、音程も声量も声色も調整している。だからヘッドホンの大音量で自分の声をかき消すとこのループが切れ、とたんに音程が取れなくなる。

返しがあるから歌える: 小さなライブハウスでは、歌い手の足元に本人へ向けたモニタースピーカーを置いて自分の声を返している。ヘッドホンをして歌う収録も同じで、伴奏と自分の声の両方が耳に返るように組んである。むしろふだん喋っているときより自分の声がよく聞こえ、歌いやすくなる。

大きな会場で耳をふさぐわけ: 音には速度があり、100m離れると0.2〜0.3秒遅れる。客席の手拍子がずれて聞こえるのと同じ理屈で、反響音も遅れて戻ってくる。それが耳に入るとリズムも音程も崩れるので、外の音を遮り、耳の中で楽器と自分の声のバランスを作る。動き回っても返しが追うのも利点。

手のひらで返しを作る: 家でも同じことはできる。手を耳のうしろや口の横に当て、角度を少し変えると自分の声が急によく聞こえる位置が見つかる。その状態で歌って録音すると変化が分かりやすい。両手を空けたいならサンバイザーや下敷きで反射面を作る手もあり、最初の1〜2曲で使って外すと脳が自分の声を覚えていく。

風呂場と車が歌いやすい理由: 風呂場は壁が硬く、運転席はすぐ前にガラスがあるので、声がよく跳ね返って聞こえる。だから気持ちよく歌える。逆に自分の声が聞こえないと余計な力みにつながるし、発声のバランスも崩れる。ちゃんと聞こえていれば声は枯れにくく、高い音も気持ちよく出せる。