見すぎることの害
続けられない
効く場面: 持っている間
確認の回数が増えるほど、判断は悪くなる
どういうクセ?
頻繁に損益を確認すると、短期の下落に触れる回数が増えます。損失に敏感なまま頻繁に評価することを、Benartzi と Thaler(1995年)は近視眼的な損失回避と呼びました。Gneezy と Potters(1997年)の賭けは、1回ごとには3分の2の確率で負けますが、同じ額を3回続けてまとめて見れば、損になる確率は約0.30です。見る頻度が、体感するリスクを決めています。
相場で何が起きるか
同じ賭けでも、結果を見る頻度で賭け方が変わります。Gneezy と Potters の少額の実験では、オランダの大学の学生83人のうち、毎回結果を見た組は元手の平均50.5%、3回に1度だけ見た組は67.4%を賭けました(最初の9回)。プロのトレーダーの現場実験(Larson ら、2016年)でも、価格の更新が少ない組は、頻繁な組よりリスク資産に33%多く投じ、利益は53%多くなりました。
仕組みで防ぐ
確認の頻度を先に決める。積立中心なら月1回、あるいは四半期に1回で十分です。値動きの通知は切ってください。Thaler ら(1997年)の学習課題では、結果を最も頻繁に受け取った参加者が、最もリスクを取らず稼ぎも最少でした。ただし、実験の結果がそのまま長い運用の成績になるとは限りません。見ないことは、怠慢ではなく戦略です。
出典
- 論文・英語 Shlomo Benartzi, Richard H. Thaler(The Quarterly Journal of Economics)(1995) Myopic Loss Aversion and the Equity Premium Puzzle
- 論文・英語 Uri Gneezy, Jan Potters(The Quarterly Journal of Economics)(1997) An Experiment on Risk Taking and Evaluation Periods
- 論文・英語 Richard H. Thaler, Amos Tversky, Daniel Kahneman, Alan Schwartz(The Quarterly Journal of Economics)(1997) The Effect of Myopia and Loss Aversion on Risk Taking: An Experimental Test
- 論文・英語 Francis Larson, John A. List, Robert D. Metcalfe(NBER Working Paper 22605)(2016) Can Myopic Loss Aversion Explain the Equity Premium Puzzle? Evidence from a Natural Field Experiment with Professional Traders
解説動画: 【資産運用】ポートフォリオはどのくらいの頻度で見直すべき?│投資Q&A/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル
見直しの2つのやり方: ポートフォリオを見直すタイミングには、1年に1度など定期的に行う場合と、資産額が最初の状態から1割以上ずれたらなど変化に応じて行う場合の2つがある、と整理している。
初心者に勧められているほう: 初心者や忙しい人には、どちらかといえば市場の動きに左右されない定期的な見直しを勧めている。相場を見て判断するほど、見る回数そのものが増えるからだ。
きっかけの作り方: 取引のある金融機関からは、取引があれば3か月に1度、取引が無くても残高があれば年に1度以上、取引残高報告書が送られてくる。これが届いたときに見直すと決めておけば、少なくとも年1回は見直せるという具体策が示される。電子交付を選んでいる場合は自分でサイトを見る必要がある点も注意。
いちばん大事なこと: 毎回やり方を変えるのではなく、自分でルールを決めて見直す。頻度そのものより、決めたとおりにやることのほうが結論として重い。