益回りと長期金利
相場の温度感
見る対象: 相場
株と国債、どちらが割に合うか
何の数字?
益回りはPER(株価収益率)の逆数で、株価に対して1年でどれだけ利益を生んでいるかを示します。これを10年国債の利回りと比べることで、株式が債券に対して割高か割安かを大づかみにできます。
読み方の目安
益回りが長期金利を大きく上回っていれば、リスクを取る見返りがある状態です。差が縮まるほど、株を持つ理由は弱くなります。Lock Stock Finance の動画は、株の期待リターンと国債利回りの差(株式リスクプレミアム)が、利回りの上昇で縮み、株が売られやすくなると説明しています。WSJ の解説動画は、景気に自信があれば米国債の小さな利回りでは満足せず株を選ぶ人もいる、と話しています。
これだけで判断すると危ない理由
利益の予想が外れれば前提ごと崩れます。Asness(2003)は、この比較は実質の益回りと名目の金利を並べる理屈の誤りで、長期リターンの予測力でも従来の評価法に劣ると論じました。Campbell と Vuolteenaho(2004)は、S&P 500 について、インフレ率の水準が割高・割安のずれの時間変動の8割近くを説明したと報告しています。この比較はタイミングを当てる道具ではなく、今どういう環境にいるかを知る道具です。
どこで見られるか
日本銀行は、貸し借りの期間が1年超の金利を長期金利、その代表を10年物の国債利回りとし、国債の利回りは金融取引の指標にしばしば使われると説明しています。財務省は主要年限の金利を1974年からの過去分まで公表し、米財務省も10年物など満期別の利回りを日次で出しています。益回りは指数のPERの逆数(1÷PER)で、PERが20倍なら5%です。
出典
- 論文・英語 Clifford S. Asness(The Journal of Portfolio Management)(2003) Fight the Fed Model
- 論文・英語 John Y. Campbell, Tuomo Vuolteenaho(American Economic Review)(2004) Inflation Illusion and Stock Prices
- 公的機関 日本銀行 長期金利
- 公的機関 財務省 国債金利情報
- 公的機関・英語 U.S. Department of the Treasury Daily Treasury Rates
- 動画・英語 Lock Stock Finance(YouTube) If You Don't Understand Bonds, You Don't Understand Money
- 動画・英語 The Wall Street Journal(YouTube) Why Bond Yields Are a Key Economic Barometer | WSJ
解説動画: 金利と経済/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル
金利はお金の値段: 物価は商品やサービスの値段、賃金は労働の値段、そして金利は貸し借りするお金の値段。3つとも需要と供給のバランスで決まる、と同じ形で並べて説明される。
なぜ金利が上がるのか: 商品がよく売れると企業は生産設備を増強するためお金を借りたがる。借りたい人が貸したい人より増えると金利が上がる。景気・物価・賃金・金利が相互に連関して好景気と不景気を生む、という循環として示される。
株を持つ判断とのつながり: 金利は「お金の値段」なので、それが上がるか下がるかは株式の割安・割高の判断にも効く。この講義は金融経済教育推進機構が「金融と経済を学ぶ」の一部として公開しているもの。
解説動画: #6株式投資の基礎知識②【知って得する!資産運用の基礎知識】/金融経済教育推進機構 (J-FLEC) チャンネル
金利が下がると株価が上がる2つの理由: ひとつは企業が払う利子が減って業績が良くなるから。もうひとつは債券に投資してもリターンが期待できなくなり、資金が株式に向かうから。金利上昇時はこの両方が逆に働く。
だから比べることになる: 金利が上がると債券の魅力が増して株式から資金が抜ける——この資金の移動こそが、株式の益回りと長期金利を比べる意味そのもの。景気・金利・為替の3つが市場を動かす大きな要因として整理されている。