2013年 異次元緩和とアベノミクス

日本の相場

年: 2013年

2013年異次元緩和とアベノミクスは、日本銀行が「量的・質的金融緩和」を決めて円安と株高が同時に進み、日経平均が年間で約57%上昇し、物価も14か月ぶりに前年比プラスへ転じた出来事です。暴落だけを覚えていると投資は怖いものにしか見えませんが、上昇の年に市場に居続けることの価値を示す記録でもあります。

何が起きたか

2012年末に第2次安倍政権が発足し、日本銀行は2013年4月4日に「量的・質的金融緩和」を決めました。2年程度を念頭に物価上昇率2%を目指し、日銀が出すお金の量(マネタリーベース)を年60〜70兆円のペースで増やす内容です。買う国債の平均残存期間を3年弱から7年程度に延ばし、ETFの保有も年約1兆円ずつ増やすものでした。円安と株高が同時に進み、日経平均は2013年の年間で約57%上昇しました。

どれくらい下がったか

この年の記録は下落ではなく上昇です。ただし、2013年5月23日には日経平均が1日で7.32%の急落がありました。連休明けから急ピッチで上がっていた午前中に、中国のPMI(景気指標)が50を割ったと伝わり、売りが売りを呼んだ、と第一生命経済研究所の熊野英生氏は分析します。原因を1つに決めつける説明は後講釈になりやすい、とも指摘しています。

戻るまでにかかった時間

この上昇は、1990年 日本のバブル崩壊から続いた低迷が転換する時期にあたります。物価も動き、生鮮食品を除く消費者物価は2013年6月に14か月ぶりに前年比プラスとなり、政府は12月の月例経済報告で、デフレの記載を外しました。日銀はその後も、2014年10月に緩和を拡大し、2016年にマイナス金利と長短金利操作を加え、2024年3月に短期金利を主な手段とする枠組みへ改めました。

ここから学べること

暴落だけを覚えていると、投資は怖いものにしか見えません。実際には、こうした年に参加していなかったことのほうが、長期の成績には大きく効きます。市場に居続けることの価値は、上昇の年に生まれます。上がる年がいつ来るかは、下がる年と同じくらい予測できません。ただし、株価の上昇と暮らしの改善は別の話で、10年目の検証番組(読売テレビ)は、株価は上がっても肝心の平均賃金は上がらなかったと伝えています。

出典

  1. 公的機関・英語 日本銀行(Bank of Japan)(2013) Introduction of the Quantitative and Qualitative Monetary Easing
  2. 公的機関 黒田東彦(日本銀行総裁)(2013) 「量的・質的金融緩和」(読売国際経済懇話会における講演)
  3. 公的機関 日本銀行 (参考)2013年以降の「量的・質的金融緩和」のもとでの金融政策
  4. 公的機関 内閣府(2013) 第2章 第1節 底堅く推移する物価とデフレ予想の改善
  5. 資料 熊野英生(第一生命経済研究所 経済調査部)(2013) 5月23日の株価暴落からの教訓 〜期待先行から実績への転換を急げ〜
  6. 動画 読売テレビニュース 政府と二人三脚「アベノミクス」を推進 検証!10年目の黒田日銀“異次元緩和”の行方【ウェークアップ】
  7. 動画 大人の勉強会 【電卓マン】 【解説】金融緩和_異次元緩和とは?(前編) 金利や国債と金融緩和との関係は? 日銀の金融政策について基本から解説 【大人の勉強会】

解説動画: 第1セッション 経済・物価情勢(「金融政策の多角的レビュー」に関するワークショップ<第2回>)/BOJchannel【日本銀行動画チャンネル】

2013年が区切りになる理由: 日銀自身が金融政策の枠組みが大きく変わった2013年を境として期間を区分している。それ以前はCPIがマイナスに沈んだデフレ期、以降はおおむねプラスだが2%に届かなかった低インフレ期。

株価と地価が対照的に動いた: 資産価格はバブル崩壊後長く低迷したが、量的・質的金融緩和の導入後の推移は、株価と地価で対照的だったと指摘されている。同じ緩和策でも、効き方は資産によって違った。

何が課題として残ったか: デフレ期に定着した「物価も賃金も上がりにくいことを前提とした慣行や考え方」がノルムとして議論の中心に置かれている。金利や株価の数字ではなく、人々の予想そのものが変わりにくかった——それが振り返りの主題になっている。