戦争は政治の延長

戦争論

「戦争は政治の延長」は、短くまとめられた一句を原文の言い回しと比べる項目。

よく言われること

「戦争は他の手段をもってする政治の延長である」という簡潔な一文が、クラウゼヴィッツの結論として広く引かれる。

原典では何と書いてあるか

『戦争論』第一篇第一章第24節に「der Krieg...eine Fortsetzung des politischen Verkehrs, ein Durchführen desselben mit anderen Mitteln」(戦争は……政治的な交わりの継続であって、それを他の手段をもって遂行することである)とある。

どこがずれているか

「戦争は他の手段をもってする政治の延長である」という簡潔な一文で広く引かれるが、原文は「politischer Verkehr(政治的な交わり)」の「Fortsetzung(継続)」であり、それを「mit anderen Mitteln(他の手段をもって)」「durchführen(遂行する)」というやや長い言い回しになっている。広く流布する簡潔な形は、原文を後年に短くまとめ直したものであり、原文そのものの文言ではない。

なぜそう広まったか

引用や翻訳を重ねるたびに長い修飾節が整理されて短くなり、覚えやすい格言の形に磨き上げられていったためと考えられる。

原典に沿って言うなら

クラウゼヴィッツが述べたのは、戦争が政治的なやり取りの継続であり、それを暴力という別の手段で遂行するものだということであり、「延長」という一語に単純化しきれる話ではない。