ナッシュ均衡は最善の結果
ゲーム理論と交渉
「ナッシュ均衡は最善の結果」は、語感から来る誤解を囚人のジレンマで確かめる項目。
よく言われること
「ナッシュ均衡」が、プレイヤー全員にとって最も良い、安定した結果を表す言葉だと理解されることがある。
原典では何と書いてあるか
ナッシュ均衡とは、他のプレイヤーの選択を所与としたとき、自分だけが選択を変えても得をしない状態を指す。Stanford Encyclopedia of Philosophyが説明する「囚人のジレンマ」では、双方が黙秘する結果の方が双方にとって良い結果(パレート優位)であるにもかかわらず、双方が自白する結果の方が唯一のナッシュ均衡になる。
どこがずれているか
「均衡」という語の響きから、ナッシュ均衡が全員にとって最も望ましい結果を表すかのように理解されることがあるが、囚人のジレンマが示すように、ナッシュ均衡はそれぞれが自分の利得だけを考えて選択を変えないという意味での安定点にすぎず、全員にとってより良い結果(パレート最適)が別に存在する場合がある。
なぜそう広まったか
「均衡」という言葉が持つ、調和がとれた望ましい状態という日常語としての語感が、ゲーム理論での技術的な定義(自分だけ変えても得しない状態)と混同されやすい。
原典に沿って言うなら
ナッシュ均衡が示すのは、各プレイヤーが単独では選択を変える動機を持たないという安定性であり、それが全員にとって最も良い結果であることを意味しない。