毎日少しずつ積む学びの組み立て。
語学は、試験と違って本番の日が1日に決まらず、覚えた語と文型を何年も引き出せる状態に保つ学びです。組み立ての中心は、短い練習を毎日か数日おきに置き、同じ材料へ間をあけて戻ることです。第二言語の学習で間隔の効果を調べた48実験・3,411人分の分析では、まとめて練習するより間をあけたほうが、中程度から大きい効果を示しました(Kim と Webb の2022年のメタ分析)。週末の1回にまとめていた時間を平日の短い回に割り直すと、総時間を変えずに間をあける練習の形になります。
間隔の決め方に凝る必要はありません。同じ分析では、直後のテストでは短い間隔も長い間隔も同じでしたが、日をおいたテストでは長い間隔のほうが上で、間隔を少しずつ広げる方式と等間隔の方式には差がありませんでした。戻る日は復習の間隔を決める手順で先に置き、単語カードは小分けにせずカードは一束で回すと、1枚ごとの間隔が自然に開きます。一度言えた語も束から抜かない形は言えた札も残すの項目にあります。4人が300組の外国語の単語を9年がかりで学び直した研究では、56日おきの13回が、14日おきの26回と同じくらい残りました(Bahrick ほかの1993年の研究)。対象は4人だけですが、一度覚えた語を保つ段階では、回数を減らして間を広げる余地があります。
文の形と種類を学ぶ段階では、規則を示して教える指導が、規則を示さない指導より効果が大きいと報告されています(Norris と Ortega の2000年のメタ分析、49研究)。ただし効果の大きさは測り方に左右され、確かめられた多くは試験の形での成績です。規則を読んだら例文を声に出す練習へ進み、同じ文型が迷わず出るまで繰り返す段階まで続けます。会話で詰まらずに出るのは、正しく言える段階のさらに先にある速さと安定のほうです。聞き取りを文字で支える形は字幕をつけて見るの項目にあります。
やりがちな失敗は、単語帳を眺めて意味が分かることを確かめるだけで終わる形です。見て分かることと、自分で言葉を出せることは別の練習です。音の似た母語の語と絵で結ぶキーワード法は、具体物を指す語には効いても時間をおいた保持が弱く、抽象語で使える形は示されていません。毎日の短い回は、通勤や歯みがきのような今ある行動の後につなぐと置き場所が決まります。続くまでの日数は21日で習慣になるという話より長く、人によって大きくばらつくので、習慣になるまでを長く見込む前提で組みます。
出典
- 論文・英語 Kim, Webb(Language Learning)(2022) The Effects of Spaced Practice on Second Language Learning: A Meta-Analysis
- 論文・英語 Bahrick, Bahrick, Bahrick, Bahrick(Psychological Science)(1993) Maintenance of Foreign Language Vocabulary and the Spacing Effect
- 論文・英語 Norris, Ortega(Language Learning)(2000) Effectiveness of L2 Instruction: A Research Synthesis and Quantitative Meta-analysis