英訳の違い

書の成り立ちと読まれ方

篇: 成り立ち

英訳の違いは、19世紀のグレアム訳と20世紀のハワード・パレット訳という、性格の異なる二つの英訳が読まれ方に影響してきたことを扱う項目。

『戦争論』のどこにあるか(篇と章)

J. J. グレアムによる最初の英訳(1873年)と、マイケル・ハワード&ピーター・パレットによる新訳(1976年、プリンストン大学出版)。

原語と原文

原題「Vom Kriege」(戦争について)。英語版の書名は、グレアム訳・ハワード&パレット訳のいずれも「On War」で統一されている。

クラウゼヴィッツの言っていること

『戦争論』の英訳は、1873年にグレアムによる最初の完訳が出たあと、1976年にハワードとパレットによる新しい訳がプリンストン大学出版から刊行されるまで、長く読み継がれた。クリストファー・バスフォードの研究によれば、ハワード&パレット訳は「すばらしい新しい英訳」と評され、バーナード・ブロディの論考とあわせて広く読まれ、4万部を超えて版を重ねたとされる。訳が変わることで、同じ原文でも読み手に与える印象や力点が変わりうる。

研究者の間で読みが割れるところ

二つの英訳のどちらがクラウゼヴィッツの原文により忠実かは、訳語の選び方をめぐって研究者の間で見方が分かれ、一つに決着しているとは確かめられない。

よくある引用とのずれ

英語圏で読まれる『戦争論』の文章が、あたかも単一の定まった文言であるかのように引かれることがあるが、実際には性格の異なる複数の英訳が存在し、引用元の訳によって言い回しが異なりうる。