ページを写真のように読む方法

読む速さの思い込み

ページ全体を画像として取り込み無意識が理解するという説

よく言われること

「ページを画像として取り込むと、一字ずつ読まなくても中身が入る」と説明されます。呼吸を整えて視線を紙面の奥に置き、1ページ1秒ほどでめくり続ける手順が示されます。取り込んだものは潜在意識が処理するので、後から問いを立てれば答えが浮かぶとされ、毎分2万5千語という数字が添えられます。手順を身につけるための講習も用意されています。

実際はどうか

この技法を身につけたと述べる人と読みの熟練者を標準化テストで比べた検証では、読む速さは通常の読みと変わりませんでした。同じ検証では所要時間がむしろ増え、理解も下がりました。普通に読むより損をしていた形です。上がっていたのは読めたという自信の側だけで、潜在意識が意味を処理するという説明は実験で確かめられていません。

なぜ広まったか

ページを丸ごと写した写真という像は、分かりやすくて覚えやすい説明です。めくった後で話題について何か思い浮かべば、それを取り込めた証拠と感じられるので、手応えだけは強く出ます。速さの数字と決まった手順があるほうが講座として売りやすく、眼を速く動かす速読術と同じ道筋で広まりました。信じる人が愚かなのではなく、自分では確かめようがないところが弱点です。

どう言えば正しいか

「写真のように取り込める」ではなく、「下読みで目次と見出しを先に見渡し、後の読みの見当をつける」と言い直すところまでにしておくのが正直です。紙面を速く送る動作から得られるのは中身ではなくわかった気です。読めたかどうかは、閉じてから要点を書き出す形で分かったつもりを検算するしか確かめようがありません。そこを省くと、読めた気だけが残ります。

確かめられ方

McNamara による予備的な検証の報告(NASA の技術報告)が、毎分2万5千語をうたう技法を、身につけたと述べる本人と読みの熟練者に標準化テストで解かせ、通常の読みと比べています。測られたのは一度の場面での速さと正答の数で、材料は既成の読解テストです。裏づけは予備的な報告1本だけで、追試が積み重なっていません。