学びの転移

学びの言葉

覚えたことが、別の場面でも使えるかどうかの度合い

どういう意味?

覚えたことが別の場面でも使えるかどうかの度合いです。Barnett と Ceci が2002年に、場面がどれくらい離れているかを複数の軸で整理したので、近い遠いは程度の話として扱います。同じ形式の問題に届くのが近い側で、頭の働き全般が上がるという主張は遠い側にあたります。過去問から本番へ効くのは、近い側の転移です。

どこで出てくるか

これをやれば地頭が上がる、という型の主張を見分けるところで効きます。訓練した課題は伸びるのに離れた場面へ移らない例がデュアルn-back訓練で、同じ形は脳トレゲームで日常が良くなる説にもあります。メタ分析を束ねて調べた報告では、遠い転移はほぼゼロとされています。だから覚える材料は使いたい場面へ寄せるほうが確かです。

取り違えやすいところ

近い転移が起きることは、遠い転移の裏づけにはなりません。似た問題へ移ったからといって、仕事の理解力まで移るとは言えない、という区別です。形を変えて思い出すでも、移りやすいのは出題の形の変化までだと報告されています。例題の応用には弱いという結果です。逆に、遠い転移が薄いことは学ぶ意味がないという話でもなく、練習を使う場面へ寄せる根拠になります。

解説動画(海外・英語): Transfer of Training Theory/GreggU

訓練と現場の距離: 企業の研修の側から転移を整理する講義です。訓練で扱う知識や道具、手順が現場とほとんど同じなら移りやすく、これを近い転移と呼びます。訓練の課題が現場と違うほど転移は難しくなり、そちらが遠い転移です。まずどれくらい似ているかという一本の軸に近い遠いを並べるところから始めます。

一通りか原則か: 次に訓練の目標を二つに分けます。閉じたスキルは現場でそのまま同じように再現するもので、正しいやり方が一つに決まっています。開いたスキルは一般的な原則を渡すだけで、正解の形が一つに決まりません。開いた側が難しいのは、原則を覚えたうえで場面に合わせて作り替える必要があるからだと述べます。

同じ要素を重ねる: 転移の考え方は三つ挙がり、どれも訓練の設計に効くと前置きされます。一つ目の同一要素説は、訓練で学ぶことが仕事でやることと同一であるほど転移が起きるという立場です。設計は、使う道具も課題の中身も現場に寄せる方向へ進み、訓練の場をどこまで職場に似せるかという話になります。

原則を広げて渡す: 二つ目は刺激般化の考え方で、大事な特徴や一般的な原則を前に出して訓練を組みます。対人スキルの研修では、幅広い場面で通じるとされる鍵になる行動を選び、手本を見せ、一つに揃えない色々な場面で練習させます。条件を変えて練習すると同じ形が、遠い側を狙う設計として出てきます。

思い出せる形で置く: 三つ目は認知の側からの考え方で、転移するかは学んだことを必要なときに思い出せるかに左右されるとします。だから意味のつながる材料を渡し、引き出しやすい形でしまう手立てを添え、研修中に自分の仕事の問題へ当てはめて話させます。符号化と想起から見た転移で、近い遠いは似ている程度の違いとして並びます。