わかった気
学びの言葉
読んでいて楽に感じることを、覚えたと取り違える
どういう意味?
教材をもう一度読むと文字を追うのが楽になり、その滑らかに読めた感じを覚えた証拠と取り違える現象です。手応えは読みやすさの反映なので、知っている感じが強くなっても、閉じてから取り出せるかどうかは別に動きます。覚えている最中の見立てがこの向きにずれることは、Koriat と Bjork が2005年に実験で示しました。試験の前に安心だけが先に育つのは、この取り違えが起きた形です。
どこで出てくるか
自分の覚え具合の見立てがずれる話なので、勉強法を選ぶ場面に効きます。Karpicke らの調査では大学生の8割以上が読み返しを勉強法に挙げていて、何度も読み返して覚えるが残る理由の一つがこの手応えです。閉じてから確かめる手順は分かったつもりを検算する、手応えが下がる側の見方は望ましい困難にあります。白紙に書き出すと出てこない箇所が先に見えます。
取り違えやすいところ
分かりやすい説明そのものを悪者にする語ではありません。説明が頭に入りやすいことと、後で自分の口から出てくることを、別に測る必要があるだけです。教材や講義の側の分かりやすさを効き目と取り違えるほうはわかりやすさを効き目と取り違えるが扱います。理解できていない状態とも違い、分かってはいるのに残らない場合も含みます。
解説動画(海外・英語): The Illusion of Truth/Veritasium
くり返すと本当らしい: 「ニワトリの体温」という言い方をくり返し見せられただけで、その後に出てくる「ニワトリの体温は34度」という文を本当だと判定しやすくなるという研究から始まります。体温について情報は何も足されていないのに、見慣れたという感覚だけで真偽の見立てが動く。実際は41度近くだと、動画はその場で訂正も入れます。
認知的な楽さ: 動画はこれを認知的な楽さ、つまり頭がどれだけ働いているかの度合いで説明します。画面を眺めるような軽い状態から、14×37を暗算するような重い状態まで幅があり、本当のことはたいてい楽に処理されます。楽に処理できるものは見慣れていて、手間がかからず、気分も良く感じられます。
楽さは作れる: 厄介なのは、この楽さが中身と関係なく作れることです。大学新聞に無意味な単語を回数を変えて載せた実験では、多く出た単語ほど良い意味に思われました。曲も卒業写真の顔も、何度も触れたあとのほうが好ましく評価され、見慣れは危険がない合図として気分の良さにつながると述べます。
学べている感じ: 結びでは、楽さは直感や発想には役立つ一方でだまされやすくもすると整理します。本当でないことが本当に見えるし、学べていないのに学べている感じがすることがあるという言い方です。何度も聞いた話と、実際に確かめられた話を分けて見る用心が要る、という締めになっています。