スピードスケートの姿勢
走る・こぐ
背中を水平に近づけて空気に当たる面を小さくする
何が起きている?
トップ選手は時速50キロ前後で滑り、その速さでは進むのを妨げる力の7割以上が空気によるものになります。氷を削る抵抗より空気のほうが大きいので、背中を床と平行に近づけ、頭を下げ、片手や両手を腰の後ろへ回して、前から見た体の面積を小さくします。
流れとしての理屈
空気が押し戻す力は、前から見た面積と、速さの2乗と、形の悪さを表す抗力係数の掛け算で決まります。前傾は面積そのものを減らします。さらに丸めた背中は流れを体の後ろまで沿わせ、はがれる位置を遅らせます。はがれが遅いほど背中側の圧力の低い範囲が狭まり、前と後ろの差が縮んで、体を押し戻す力が小さくなります。
選手がしていること
直線では両手を背中で組み、コーナーでは腕を振って体を内側へ倒します。この姿勢を40秒から十数分保つので、太ももと腰の持久力が前提になります。低くしすぎると呼吸が浅くなり脚も伸ばせないため、どこで折り合いをつけるかは選手ごとに違い、コーチと詰めていく部分です。
勘違いしやすいところ
低ければ低いほど速い、とは限りません。面積が減っても、力を出せない姿勢では意味がないからです。スーツの生地は表面の細かな凹凸ではがれ方を変えますが、効き方は速度域と体型で変わるので、誰にでも合う一着は存在しません。話題になった素材が万人に効くとは限らないのは、そのためです。
解説動画(海外・英語): Speed Skating: Tips for Beginners/Rollerblade
空気を受けにくい姿勢: 話しているのは8度の世界王者で、まずはインラインの基本の姿勢からです。肩とひざとつま先を一直線にそろえ、背中は平らに保つ。こうすると空気の受けが小さくなり、その分だけ速く進めると言います。目線を下げずに前を向いたままでいることも、同じ場面で大事だと付け加えます。
足の向きと押し出す向き: 足は左右を平行にして同じ向きへそろえ、開く幅は腰より広げないのが目安です。押している間は体重を片方の脚に預け、頭とひざとつま先が一直線に並ぶ形を保ったまま、後ろではなく横へ押し出す。動画は、押し方を見ればその人がスピードスケーターかどうか分かる、とまで言います。
体重を移して腕を振る: 3つ目は、体重の移し方と腕の振りについてです。片方の脚からもう片方へ体重を移すと、それだけで押しが強くなると言います。手も使い、体を安定させることが速さにつながるという順で説明します。腕の振り方そのものは、走るときや歩くときと同じでよいという言い方をしています。
力を抜いたままでいる: 最後は、スケートの上で力を抜いていること。そのほうが技術に意識を向けやすく、結果としてうまく滑れるからだと結びます。仲間に形を作ってもらいながら、初心者向けの4つのこつを姿勢・押し方・体重移動・力みの順に並べた内容です。