マラソンの集団走
走る・こぐ
風の負担を分け合って走る長距離の集団
何が起きている?
マラソンの速さは時速18〜21キロほどで、空気を押しのけるのに使うエネルギーは全体の数パーセントにとどまります。それでも集団に入るとその一部が減り、42キロで1分前後の差になることがあります。自転車ほど劇的ではないぶん、順位を分ける細さで効いてきます。
流れとしての理屈
人の体は丸みのある鈍い形なので、背中の後ろで流れがはがれ、渦を含んだ帯が引きずられます。後続はそこに入り、顔と胸に当たる空気の勢いが弱まります。体の前と後ろの圧力の差が縮むぶん、後ろへ押し戻す力が減り、同じ速さを出す脚の仕事が軽くなります。空気の力は速さの2乗で増えるので、遅い競技ほど分け前も小さくなります。
選手がしていること
前走者の1メートル前後後ろ、風上側なら斜め後ろへ位置を取ります。ペースメーカーを置く大会もあり、給水のたびに列は崩れて組み直されます。前に出る番と隠れる番があるので、駆け引きは体力の配分そのものです。終盤に自分から前へ出るのは、風を引き受ける宣言でもあります。
勘違いしやすいところ
無風の日は無意味と思われがちですが、走る本人が向かい風を作っているので効きます。ただし自転車のドラフティングほどではなく、離れると効果は急に落ちます。集団は涼しそうに見えて、実際は熱と湿気がこもる側で、暑い日は体温が上がりやすいという代償がつきます。