線香

風を見る

線香は、一本立てるだけで部屋の中の空気の動きが全部見える道具です。

どこに効くか

部屋の空気は止まって見えますが、線香を一本立てると動いている場所が全部見えます。エアコンの風が実際にどこで下りているか、ドアの下から入ってくるのか出ていくのか、換気扇を回したときに窓のどの隙間から空気が押し込まれるかが、数十秒で決まります。煙の筋そのものも見どころで、立ち上がりはガラス棒のようにまっすぐなのに、ある高さから急によれて広がります。まっすぐな部分が層流、崩れた先が乱流で、同じ空気が同じ勢いで昇っていても途中で性質が変わることを、家の中で確かめられます。人が横を通っただけで筋が大きく崩れ、しばらく戻らないのも見どころで、部屋の空気はこちらが動くたびにかき混ぜられていると分かります。

選ぶときに見るところ

太いものより直径2mm前後の細い線香のほうが煙が一本にまとまり、筋の形が読めます。香りが強いお香は部屋にこもるので、流れを見たいだけなら無香タイプか香りの弱いものにします。灰が落ちるため受け皿は必須で、横に寝かせられる長い皿だと床付近の弱い流れも追えます。後ろに黒い紙を立てると煙が白く浮いて撮りやすくなります。煙を追うのに夢中になって、火のそばに紙やカーテンを寄せないこと。火を使えない場所では霧吹きの細かい霧が代わりになるので、そちらを先に試す手もあります。仏壇用の箱入りが一つあれば当面足り、買い足すのは煙の量が欲しくなってからで十分です。