食用色素・インク
水を見る
食用色素・インクは、透明で動きの見えない水に、流れの道筋を線として残す道具です。
どこに効くか
水は透明なので、動いていても止まっていても同じに見えます。色素を一滴だけ落とすと、そこから先の道筋が線になって残ります。ゆっくり流れる管の入口に細く落とすと一本の糸のまま何十cmも伸び、蛇口を開けて勢いを増していくと、ある速さから先で糸は急にほどけて全体が濁ります。同じ管、同じ水でも、速さだけで流れの性質が変わるという百年以上前の実験が、そのまま台所で再現できます。かき混ぜたコップに落とせば渦の巻き方が、湯と水の境に落とせば層の厚みが見えます。壁ぎわに落とすと、中央より明らかに遅れて進み、面に近いほど水は遅いことも一目で分かります。数滴あれば足りるので、一度作った色水は何度でも使い回せます。
選ぶときに見るところ
液体タイプが扱いやすく、粉は先に濃い原液を作っておかないと溶け残りが粒になって沈み、流れではなく粒の落下を見ることになります。濃い青や赤は少量でよく写る代わりに、布や樹脂に色が残ります。白い容器や服の近くでは扱いに注意します。牛乳や絵の具は粒が大きく、水より重かったり軽かったりして自分で沈む・浮く動きが混ざるので、流れだけを見たいなら水に近い重さの染料が向きます。買う前に、麦茶や薄めた醤油で必要な濃さの見当は付けられます。合わせてスポイトか注射器を用意しないと狙った一点に一滴を置けないので、色素だけ買っても半分しか進みません。
解説動画: 色の広がり ~色素の拡散~/星と宇宙のミニ博物館青星
道具は台所のもので足りる: 使うのは食紅と水を入れたコップだけで、器は普通のガラスのコップでかまわない。粉のままではなく、先に少量の水に溶いて色水を作っておく。落とすときはストローを短く切ったものがスポイト代わりになり、一点にだけ落とせる。特別な器具をそろえなくても始められる。
水の中は速すぎる: 水に一滴落とすと、色は下へ、横へと広がっていく。最初は濃いところと薄いところがはっきり分かれているが、やがて全体が同じ色になる。ただし水の中ではあっという間に広がってしまい、途中の様子を落ち着いて追いにくい。広がり方そのものを見たいときは、これが困りどころになる。
ゲルに落として遅くする: そこで、水の代わりにゲルとしてスライムを使う。ゲルの中では色素が一気に広がらないので、時間をかけて少しずつ進んでいくところを観察できる。ただし量が少ないと色が薄くて追えないので、水のときより多めに落とす。時間がかかるぶん、自由研究の題材にも向くと勧めている。