ゴンズイ
毒のある魚
ゴンズイは、背びれと左右の胸びれ、合わせて3本のトゲに毒がある
見分け方
ナマズの仲間で、口のまわりに8本のヒゲがあります。茶褐色の体に黄色い縦の線が2本走るのが目印。幼魚は数十匹が固まって黒い塊のように泳ぎ、これをゴンズイ玉と呼びます。夜釣りやサビキで意図せず釣れてくることが多い魚です。学名はPlotosus lineatusといい、インド太平洋の沿岸に広く分布します。近年はスエズ運河を通って地中海にも侵入しており、海外の毒性学の論文でも、地中海沿岸を訪れる観光客への健康リスクとして名前が挙がっています。
危険・注意
背びれと左右の胸びれの先端、合わせて3本のトゲに毒があります。刺されると激しい痛みと腫れが数時間から数日続きます。死んでからも毒は残るので、地面に落ちている個体を素手で触るのも危険です。フランス領のレユニオン島・マヨット島で2011〜2023年に報告された刺傷30件をまとめた研究では、9割が男性で、7割は釣りの最中に起きていました。全員が痛みを、4割が広い範囲の腫れを訴え、経過を追えた10人のうち多くは24時間以内に回復しましたが、治るまで1週間かかった例もありました。この研究に死亡例の報告はありません。
どうする
絶対に素手でつかまないでください。掛かったらプライヤーでハリを外すか、ハリスを切って落とします。刺されたときは、傷口を洗って毒を絞り出し、やけどしない程度(40〜45℃)のお湯に30分ほど浸けると痛みが和らぐとされます。魚の毒はタンパク質で熱に弱いためです。腫れが広がる、息苦しい、気分が悪いといった症状が出たら、すぐ医療機関へ。痛みや腫れが何日も長引く場合も、自己判断で様子を見続けず医療機関に相談してください。
出典
- 論文・英語 Schmitt C, Maillot A, Glaizal M, Simon N, de Haro L(2026) Presumed Envenoming by the Striped Eel-Tailed Catfish Plotosus lineatus in the Mascarene Islands
- 論文・英語 Bédry R, de Haro L, Bentur Y, Senechal N, Galil BS(2021) Toxicological risks on the human health of populations living around the Mediterranean Sea linked to the invasion of non-indigenous marine species from the Red Sea
解説動画: ゴンズイに刺された痛みと、お湯で温める応急処置の効果/平坂寛
毒針がどこにあるか: 撮影者が自分から刺されて痛みを検証した動画。ゴンズイの毒針は左右の胸びれと背びれの一番前にある計3本のトゲで、刺さると根元の皮がめくれて白いトゲが出てくる。トゲには抜けない向きのギザギザが並び、一度刺さると抜けずに毒を送り込み続けると説明している。硬い樹脂のサンダルも、力を入れずに貫通した。
刺されるとどうなるか: 刺された瞬間はハチに刺されたような痛みで、3秒ほどあとから骨の芯にズキンズキンと響く痛みに変わると話している。手が震えるほどの激痛で、刺されて4時間経ってもまだ痛み、その晩は目を閉じると疼いて寝つけないとこぼしていた。翌朝には腫れも引き、虫刺されの跡程度に戻った。
お湯で温めるとどうなるか: 入浴剤(温泉の素)で毒が抜けるという噂を確かめるため、両手を刺したうえで42〜43℃ほどのただのお湯と入浴剤入りのお湯に同時に浸けている。和らぎ方に差はなく、効いていたのは薬効ではなくお湯の温度だと結論づけた。引き上げて湯冷めすると痛みは戻るので、一時的に紛らわせるだけだとしている。
釣り場での注意: 死んだあとも毒針は作用するので、持ち帰るなら釣り場でハサミやペンチを使い、胸びれと背びれの毒針を切り落としてから扱うよう勧めている。夜釣りで、暗がりの正体が分からない魚を素手でハリから外そうとすると痛い目に遭うとし、刃先の長いプライヤーや針外しを携行するよう呼びかけている。刺されたら病院で適切な処置を受けるのがよいとも話している。