発酵食品は腐らない
発酵と腐敗
遅らせているだけで、止めてはいない
よく言われること
「発酵食品は菌の力で守られているから、放っておいても腐らない」「昔の人は冷蔵庫なしで食べていたのだから大丈夫」。
実際はどうか
発酵は腐敗を遅らせる技術であって、腐敗しない状態を作る技術ではありません。守っているのは酸・塩・アルコール・低い水分の4つで、このどれかが薄まれば腐敗菌は増えられます。糠床に水が上がったまま放置すれば傷みますし、塩を減らした味噌はカビます。「守られている条件が、いまも成り立っているか」が唯一の判断軸です。
なぜ広まったか
保存食として発酵が使われてきた歴史が、「発酵=保存される」という短縮された理解になりました。実際の伝統的な仕込みは、塩を効かせ、空気を遮り、冷暗所に置くという条件の管理とセットです。条件を外した現代の「減塩・少量・室内」の仕込みに、そのまま当てはめられません。
どう言えば正しいか
「発酵は、菌が作る酸や塩の力で腐敗菌が増えにくい状態を作る。だから条件が保たれているあいだは日持ちする」と言えば正確です。
解説動画: ヒトの先祖が「腐敗」と「発酵」の違いに気づいた日/Geo Origin【ジオ・オリジン】
腐敗との分かれ目: 動画は発酵と腐敗を並べて説明します。どちらも見た目や味が変わる点は似ていますが、肉などからアンモニア臭が出て食べられなくなる状態が腐敗、ヨーグルトのように形が変わっても食べられる場合が発酵、と区別されていると述べます。境目は、変化があるかどうかではなく食べられるかどうかに置かれています。
守っているのは酸: 乳酸菌が乳酸を作ると酸性になり、ほかの危険な微生物が食品に入り込むのを防ぎます。糖から作られるエタノールにも、有毒な細菌が住みつくのを防ぐ働きがあると続けます。どちらも微生物がエネルギーを得るために作ったもので、発酵は人間の発明ではなく、もともとあった方法を借りているだけだという見方です。
進みすぎれば病気に: ここが要点です。動画は、酸っぱくなった牛乳や、腐った肉のような身近な例を挙げて、発酵が進みすぎたものを食べれば病気を引き起こすとはっきり言います。保存性が高くなるのは確かでも、その先へ行けば同じ食べ物が危険になる。
味覚が測っていた: では昔の人は進み具合をどう測ったのか。動画は当時の人が頼れたものとして味覚を挙げます。苦みはその食べ物が有毒かもしれないという警告として働き、酸味は発酵の度合いを確かめる目印になった。旨味は、微生物がすでに何かした証拠でもあり、舌が計器の代わりだったという話です(→腐敗のにおい(酸味との違い))。
条件が守っている: 最後に、酸性の葉を敷いた穴に肉を埋めて発酵させる文化が今もあると紹介し、酸のおかげで危険な細菌が生きにくくなると述べます(→ボツリヌス菌(最も注意すべき相手))。肉を隠して発酵させる方法なら遠い祖先にも使えたはずだ、とも触れます。発酵という名前ではなく、条件が守っているわけです。