酵母

酵母

糖からアルコールと炭酸ガスを作る

どんな菌?

Saccharomyces cerevisiae が代表で、パン、ビール、ワイン、日本酒のすべてで働く同じ種です(用途ごとに選抜された別の株を使います)。カビでも細菌でもなく、単細胞の菌類です。

何をするか

糖を分解してアルコールと二酸化炭素を作ります(アルコール発酵)。パンではこの二酸化炭素が生地をふくらませ、アルコールは焼成中に飛びます。酒ではアルコールのほうが目的で、ガスは抜けます。同じ働きの、どちらを使うかの違いです。

好む環境

25〜30℃が最も活発。60℃を超えると死にます。糖と、わずかな窒素源があれば増えます。酸素があれば増殖を優先し、酸素がなければアルコール発酵に傾きます。

関わる食品

パン、ビール、ワイン、日本酒、味噌や醤油の香り成分。「天然酵母」は野生の酵母と乳酸菌などが混ざった状態を指す言い方で、単一の菌ではありません。市販のイースト(培養酵母)より発酵が遅く、風味が複雑になります。

解説動画: 【高校生物】第15講「アルコール発酵」/TEKIBO 高校勉強動画

アルコール発酵とは: 発酵=微生物が酸素を用いずに有機物を分解してATPを得る働き。そのうち酵母(真核生物)が行うのがアルコール発酵で、乳酸発酵・酪酸発酵と並ぶ代表例として位置づけられる。高校生物の講義形式で、反応を順に追っている。

反応の流れ: まずグルコース → 2分子のピルビン酸(解糖系)。ここで脱水素酵素が働いてNAD⁺がNADHになり、ATPが2分子できる。この部分は呼吸でも乳酸発酵でも共通。次に酵母はピルビン酸 → アセトアルデヒドに変える。ここで脱炭酸酵素が働き、二酸化炭素が発生する—— パンがふくらむのも、ビールが泡立つのもこれ。

最後にエタノールになる理由: アセトアルデヒド → エタノール。還元型補酵素(NADH)が水素を渡すことでこの変化が起きる。酵母がわざわざエタノールを作っているのは、NAD⁺を再生するため—— ここで水素を手放しておかないとNAD⁺が戻らず、解糖系が回らなくなる。つまりアルコールは目的ではなく、代謝を回し続けるための副産物という説明になっている。