腐敗をおこす菌(シュードモナス・セラチアなど)

入ってはいけない菌

腐敗をおこす菌(シュードモナス・セラチアなど)は、塩分や酸の守りが薄い環境で増え、ぬめりや色の変化、生臭い匂いを出す細菌です。発酵を進める菌ではなく、守りが崩れたときに入れ替わりで優勢になる相手です。冷蔵の温度でも増える種があり、菌が作った酵素は加熱しても残ることがあります。家庭では、見た目だけで菌の種類は決められません。

どんな菌?

水分が多く、塩分と酸が薄い場所で増える細菌です。ぬめり、ピンクや緑の色、生臭い匂いを出すのが特徴。牛乳のフレッシュチーズの腐敗菌では、シュードモナス属が最も多いと、30件の研究をまとめた総説が報告しています(Anchundiaら、2026)。解説動画(Microbiology & Biotechnology)は、オキシダーゼ試験(シュードモナスは陽性、大腸菌は陰性)などで種を決めると説明しています。

何をするか

肉の腐敗菌を扱った総説(Kangら、2026)は、グリコーゲン・たんぱく質・脂肪の分解でアンモニアやアミン、硫黄化合物などの匂い成分が生じ、シュードモナスもその担い手に挙げています。鶏肉では、インドールと1-オクテン-3-オールが腐敗の指標と強く関係していました(Wangら、2026)。匂いは、乳酸菌が作る酸味とは違い、腐敗臭になります。セラチアはプロディジオシンという色素を作ります(Hamadaら、2024)。

好む環境

腐敗菌の増え方は、pH・水分活性・包装の中の気体・保存温度で変わります(Kangら、2026)。低温でも増えられる種があるので、冷蔵していれば安全とは限りません。鶏むね肉を4℃で8日間冷蔵すると、シュードモナスの割合が18.37%から61.74%に上がりました(Wangら、2026)。低温で増えるシュードモナスは熱に強い酵素AprXを出し、UHT牛乳の品質低下の大きな原因と挙げられています(Sinhaら、2026)。

関わる食品

発酵食品に出てはいけない側の菌です。ぬめり、ピンクや緑の変色、腐敗臭が出た仕込みは廃棄してください(→赤・ピンクのぬめり・腐敗のにおい(酸味との違い))。予防は、塩分を守る・酸を早く立てる・器具を消毒するの3つです。

出典

  1. 論文・英語 Kang J, et al.(2026) Meat spoilage by bacteria: Influencing factors, volatile compounds, and organoleptic alterations
  2. 論文・英語 Anchundia M, Santacruz S(2026) Spoilage-Associated Bacteria in Fresh Cow Cheeses: Diversity, Spoilage-Related Changes, Quantification and Identification Approaches—A Scoping Review
  3. 論文・英語 Wang S, et al.(2026) Pseudomonas-driven spoilage and identification of early-warning volatile markers in chilled Shimen Sanhuang chicken
  4. 論文・英語 Sinha A, et al.(2026) Techniques to Detect and Quantify the Bacterial Metalloprotease AprX in Bovine Milk: A Review
  5. 論文・英語 Hamada MA, et al.(2024) Characterization of Serratia marcescens (OK482790)' prodigiosin along with in vitro and in silico validation for its medicinal bioactivities
  6. 動画・英語 Microbiology & Biotechnology BIOCHEMICAL TEST | Bacterial Identification Technique | Microbiology | Vivek Srinivas |#Bacteriology

解説動画: 【ゆっくり解説】腐敗と発酵の違いとは?腐った納豆は食べられるのか?/エネ管.com

腐るとは何が起きるか: 腐るとは、食べ物に付いた微生物が有機物を分解して、有害な成分や匂いのある成分に変えてしまうことだと定義します。菌は人の手やまな板から付くこともあれば買う前から付いていることもあり、食品工場で衛生管理をしても完全には無くせない。調理のときは菌はあるものとして扱うほうが安全だと述べます。

匂いの正体と条件: 不快な匂いの物質としてはアンモニアや硫化水素を挙げます。菌は35℃付近で最もよく増え、室温でも繁殖する。酸素のある条件を好むものが多いので、低温で空気を抜いた状態のほうが保ちがよいという説明です。火を通しても、ぬるいところに菌が入ればまた増えていく。冷蔵庫で野菜が長くもつのはこの裏返しだとしています。

腐りやすさを分けるもの: 同じ温度でも食品によって腐りやすさは違い、水分を多く含むものほど傷みやすいと整理します。肉や魚などの生鮮品、葉物野菜は水分が多い側で、肉と野菜のあいだの差も表で比べています。はちみつや乾燥パスタのように水分の少ないものは日持ちしやすいと述べ、温度や湿度だけで決まるのではないとまとめます。

発酵と腐敗の境目: しくみ自体は同じで、人に有益なものを出していれば発酵、そうでなければ腐敗と呼び分けているだけだと言います。納豆の匂いを腐っていると誤解されることがあるが、それは違うとも断る。先に住んだ菌が他の菌の増殖を許さない働きもあるので傷みにくいものの、保存の環境しだいでは納豆でも腐ると続けます。

見た目では分からない: 食中毒を起こす菌の例として黄色ブドウ球菌なども挙げ、見た目が変わっていなくても繁殖していることがあると釘を刺します。守りは、調理器具や保存容器を清潔にしておくことと、冷やしておくこと。塩分やアルコールを含むものは腐敗菌を抑えるので傷みにくい。冷凍や冷蔵で日持ちはするけれども、そこも菌を持ち込まないことが前提で、足の速いものは早めに食べるのが確実だと締めます。