かき混ぜる頻度

時間

かき混ぜる頻度は、床を均一にするためではなく、表面と底の酸素の偏りを均して菌の増えすぎを止める作業です。

なぜ効くか

混ぜる目的は「均一にすること」ではなく、酸素の分布を変えることです。表面には酸素があって産膜酵母とカビが増え、底には酸素が無くて酪酸菌が増えます。混ぜるとそれぞれが逆の環境に置かれて、増えすぎが止まります。東海漬物と九州大学の研究では、かき混ぜた糠床は上下層で有機酸・アミノ酸の量に差が出ませんでしたが、放置すると乳酸などで差が生じました。

目安

糠床は常温なら1日1回、冷蔵なら3〜4日に1回。底から大きく返して、上下を入れ替える—— 表面だけかき回しても意味がありません。混ぜたあとは表面を平らにならし、容器の縁を拭く。味噌やもろみは、仕込み初期に数回の天地返しをします。東海漬物と九州大学の研究でも、糠床を24℃で60日、毎日手で混ぜて塩分4〜5%とpHを保っています。

外れたときの症状

混ぜ不足の症状は決まっています—— 表面の白い膜とカビ(酸素側)、底からの靴下臭(無酸素側)(→糠床の異臭(靴下・アンモニア))。混ぜすぎ(1日に何度も)は、酸素を入れすぎて乳酸菌が不利になります。杉浦ら(2023)は、炒り糠を使い混ぜずに置いた糠床で、乳酸菌(旧Lactobacillus属)が下層より上層で有意に多くなったと報告しています。

出典

  1. 論文・英語 Ono H, Nishio S, Tsurii J, Kawamoto T, Sonomoto K, Nakayama J(2015) Effects of Japanese pepper and red pepper on the microbial community during nukadoko fermentation
  2. 論文 杉浦俊作・池田未果・中村優一・三島梨子・森下美香・中山二郎(2023) 発酵糠床における上下層の菌叢比較とかき混ぜの影響