熟成と過発酵の境目

時間

熟成と過発酵の境目は、同じ進行の途中か行きすぎたかの違いで、止めどきは時計ではなく味で決めます。

なぜ効くか

熟成と過発酵は別の現象ではなく、同じ進行の途中と行きすぎです。だから「何ヶ月で完成」という数字は、温度と塩分がレシピと同じだった場合の目安でしかありません。実際の止めどきは、味と香りで決めます。パンの解説動画The Bread Codeも、サワードウのちょうどよい発酵時間は種の量と元気さ、室温で変わると説明しています。

目安

味噌は6ヶ月あたりから味見を始め、好みになったら冷蔵へ。ヨーグルトは固まったら即冷蔵。キムチは酸味が出始めたら冷蔵。「あと1週間置けばもっと良くなる」は、たいてい行きすぎます。韓国・慶熙大学などのチームがキムチの熟成を色で示す指示薬を作った論文は、最適な発酵をpH4.7・酸度0.72%、発酵しすぎをpH3.8・酸度1.38%としています。1本の研究の値なので、目安にとどめてください。

外れたときの症状

行きすぎると、酸味が支配的になり、色が濃くなり、香りが単調になります(→酸っぱくなりすぎた)。多くの場合、行きすぎは危険ではなく、味の問題です。用途を変えれば使い切れます。ケフィアのKefirLove(Whitney)は、発酵しすぎで乳清が分かれても腐敗とは別で、変わるのは主に味だと説明しています。パンのナオキパンは、オーバーナイト生地で、爽やかなアルコール臭ならよく、不快なにおいや酸っぱいにおいなら失敗と話しています。

出典

  1. 動画・英語 The Bread Code OVER FERMENTED SOURDOUGH - The Signs and Consequences
  2. 論文・英語 Oun AA, Roy S, Shin GH, Yoo S, Kim JT(2023) pH-sensitive smart indicators based on cellulose and different natural pigments for tracing kimchi ripening stages
  3. 動画・英語 KefirLove How Can I Tell if my Kefir is Overfermented?
  4. 動画 パン作り研究家 ナオキパン オーバーナイト法での過発酵対策を理解すれば、どんなレシピでも対応出来るようになります!

解説動画: 手作り味噌完成!こんな時どうする?/新関さとみの田舎ごはんチャンネル

開けるのは夏の間: 仕込んだ味噌を開けるのは7月下旬から9月下旬で、夏の温度上昇で発酵して出来上がると説明します。25度以上の日が60日以上ないと味噌にならないと言われているそうで、前年の9月に仕込んだものも、2月の寒仕込みも、開けるのはこの夏。6月に仕込めば3ヶ月で味噌になる不思議な食品だ、と述べます。

早い遅いを決める三つ: 出来上がりは三つに左右されると言います。一つ目は気候で、猛暑の年は熟成が早く、7月下旬から8月中旬に開ける。冷夏の年は9月後半まで待つ。二つ目は麹の量で、多いほど熟成が早い。三つ目は仕込んだ場所で、家ごとに出来上がりの時期が少しずつずれるので、これも判断の材料にしてくださいと言います。

取るものと残すもの: 蓋と塩重石を外して表面を見ます。ベージュや黒っぽいクリーム状のかぶれは取り除く。体に害はないものの、風味がよくないためです。表面の黒い汁と、桶の側面に出る白い斑点は取り除かなくてよい。かき混ぜるときは下からよく返します。味噌は下のほうから美味しくなっているためです。ただし重石の塩だけは絶対に混ぜ込まない。たまり(味噌の上に出る液)は残す側です。

食べごろの見分け方: 上下をよくかき混ぜてから、二点を確かめます。色は山吹色になっていること。味はまろやかになっていること。色が薄く、味見して甘酸っぱいときは、角が立つと表現される状態で、まだ熟成していません。その場合は表面を平らにならして重石を戻し、2〜3週間置きます。混ぜて空気に触れたぶん熟成が進み、次に開けるころには美味しくなっていると言います。

二度目の夏は越さない: 気に入った色と味になったところで、小分けにして冷蔵か冷凍へ移す。塩分が強いので冷凍しても凍りません。遅くとも翌年の2〜3月までに桶から上げるよう念を押し、二度目の熟成に入ると色も味も急に濃くなってしまうと述べます(→味噌の色が濃くなった)。止めどきは、時計ではなく好みの側にあります。