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音楽・マイク・エコーの釣り合いの取り方。

音量とエコーを合わせる順番は、歌声入りかどうかを決める設定→マイクの音量→伴奏との比→エコーの深さ、の4段で考えると手直しが少ない。どれもあとの段の聞こえ方を変えるため、先に決めた段を後の段で動かすと、また前の段からやり直しになる。

歌声入りの音源を選んだときは、まずボーカルキャンセルでどれだけ歌声を残すかを決める。本人の声をどれだけ混ぜるかを0%から100%の間で選べるマイクの製品紹介動画では、0%で伴奏だけが残り、数値を上げるほど元の歌声が混ざって聞こえると示されている(マイクメーカーの製品紹介・利害あり)。この処理は、歌声が左右の音の中央寄りに集まりやすい性質を利用して弱めるもので、日本音響学会誌に2016年に載った名取隆廣・田邉造・古川利博の研究によると、同じく中央寄りに混ざるベースやドラムまで一緒に薄まるため、歌声がきれいに消え切ることはまれだという。歌声が残ったままマイクの音量を決めると、あとで消したときに声の比率がずれるので、この設定は先に決めておく。

ボーカルキャンセル
ボーカルキャンセル図: オトモシリーズ

次にマイクの音量を決める。音響機器を扱う解説動画は、マイクの入力を0から上げていき、声を出しながらメーターの針が振れすぎる(クリップ)直前で止める決め方を実演している(Ray Ortega)。カラオケのマイク音量もこの考え方に近づけやすく、ガイドメロディを小さな声でなぞりながら一目盛ずつ上げ、音が割れたりハウリングが鳴ったりする一歩手前で止めると、割れない範囲でいちばん声が通る値に近づく。

ガイドメロディ
ガイドメロディ図: オトモシリーズ

マイクの音量が決まったら、音量バランスで伴奏との比を整える。アマチュアと訓練を受けた歌い手が参加した実験では、伴奏が大きくなるほど声も大きくなる反応が、訓練を受けた歌い手より強く出た。同じ実験では、自分の声が外からよく聞こえる設定ほど、声の大きさはむしろ下がったと報告されている(Bottalico, Graetzer, Hunter 2016)。伴奏に声がかき消されると感じても張り上げるより、マイクを一目盛上げて自分の声を聞き取れる状態に戻すほうが、1曲を通して疲れにくい。

音量バランス
音量バランス図: オトモシリーズ

最後にエコーの深さを足す。録音の専門誌は、歌手に聞かせる残響は多すぎても少なすぎても同じくらい歌いにくさにつながると述べ、決めた深さを歌手自身に確かめてもらいながら微調整する手順を勧めている(Paul White)。音量の比を決める前にエコーを深くかけると、自分の声の大きさが変わって聞こえ、音量の判断がぶれる。浅い側から試し、決めた音量の比を保てる深さまでだけ足すと、後戻りが少ない。

エコー
エコー図: オトモシリーズ

出典

  1. 論文・英語 Bottalico P, Graetzer S, Hunter EJ(Journal of Voice)(2016) Effect of Training and Level of External Auditory Feedback on the Singing Voice: Volume and Quality
  2. 論文 名取隆廣・田邉造・古川利博/日本音響学会誌(2016) 雑音抑圧手法を用いたステレオ型カラオケ音源生成法の提案
  3. 動画・英語 Ray Ortega Setting Microphone Levels on a Mixer - Gain Staging with no PFL/Solo Buttons
  4. 動画・英語 JBL Support(マイクメーカーの製品紹介・利害あり) JBL EasySing Mics | How to Set Up and Use Your Microphones
  5. 資料・英語 Paul White/Sound On Sound(録音の専門誌)(1995) Monitoring & Vocals