水堀

門と虎口と堀

時代: 江戸

水をたたえて、城と城下の境をつくります。平地の城では渡れる場所が橋と門だけに絞られ、堀の折れ方がそのまま守りの仕掛けになります。

何のためのものか

水をたたえた堀です。平地に築いた城では水面がそのまま城と城下の境になり、渡れる場所が橋と門に限られます。湧水や川の水を引き込んで水位を保ち、掘り上げた土は土塁や曲輪の造成に回されました。東京都千代田区の江戸城跡、愛知県名古屋市の名古屋城、広島県広島市の広島城跡では、堀が幾重にもめぐる構えが今の地形と道筋に残ります。

見分けの決め手

堀の線が、まっすぐ続かずに折れているかを見ます。城の堀は横矢を掛けるために意図して折り曲げられるため、直線と直角の折れが繰り返され、折れの角には櫓台が置かれることがあります。土塁や石垣が堀と対になって続くかも手掛かりです。現在の水位と護岸は近代以降の改修を受けている例が多く、見えている水面の広さが当時の堀幅とは限りません。

いつ頃のものか

堀に水を張る構えは中世の平地の城館にもあり、近世の城で規模が大きくなりました。幅と深さは発掘調査の土層断面図から復元され、当初の堀底が現在の水面より下にあり、その上に埋没後の堆積が厚く重なる例が報告されています。数値は調査した地点ごとの実測値で、同じ堀でも場所によって断面が変わります。報告は奈良文化財研究所 全国遺跡報告総覧で読めます。

取り違えやすい相手

近代以降に造られた池や、運河と用水路の跡が相手です。堀の折れと土塁が対になって残っているかを見ます。城の堀は横矢のための折れを持ち、内側に土塁か石垣を伴います。庭園の池や運河は緩やかな曲線や、幅の一定した直線で続き、対になる土塁がありません。埋め立てて公園や道路になった区間では、古地図と発掘の成果を重ねて線をたどります。

どこに立つと見えるか

堀の角にあたる場所から、水面に沿って左右の壁を見通します。折れの効き方は、角に立って両側の壁を同時に見たときにいちばんよく分かります。広島県広島市の広島城跡のように内堀の外周をひとまわりできる城跡では、折れの数を数えながら歩けます。水際の護岸や柵の外側には出ず、整備された園路の内側から、水面に映る石垣の高さを見ます。