シュルレアリスム
20世紀の動き
1924〜1940年代/フランス
どんな様式か
夢や無意識に出てくる像を、そのまま画面へ持ち込もうとした運動。描き方はむしろ写実的で、組み合わせだけが現実離れしているものが多い。理性で組み立てるのをやめ、出てきたものを止めずに書き取るやり方を方法として使うのが出発点になっている。
見分け方
ひとつひとつの物は輪郭がはっきりして、影も落ちる。ところが置かれた場所と大きさが噛み合わない。室内に空が広がり、日用品が別の材質になる。この置き換えをデペイズマンと呼ぶ。遠近は正しいのに中身が合わない状態が目印で、遠近法がきちんと効いているぶん違和感が強くなる。
いつ、どこで
1924年、パリで詩人アンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表して始まった。第一次世界大戦後のダダを引き継ぎ、フロイトの無意識の考え方を下敷きにしている。出発点は文学で、絵画はそこから広がった。1930年代を通じて各国へ伝わっていく。
代表的な画家
エルンスト、マグリット、ダリ、ミロ、タンギーら。いずれも20世紀の作家で、この図鑑では作品画像を扱わない。先駆として持ち出されることが多いのは、蛇使いの女のアンリ・ルソーと快楽の園のボス。この二枚を見ておくと、彼らが何を追いかけたのか掴みやすい。
解説動画: シュルレアリスムの二つの誤解と、文学からの出発/サイトウミュージアム-SAITO MUSEUM
どういうものとして説明しているか: 超現実主義という訳語は分かりにくいとして、話者は地続きのワンダーランドという捉え方を勧めている。岡本太郎が空飛ぶ絨毯やかぼちゃの馬車を例に挙げていたことを引き、別の世界へ移るのではなくいま居る世界の地続きにある世界を体感するものだと説明する。普通の生活の中に突然ファンタジーが起こる、という掴み方でいいと言っている。
よくある二つの誤解: 日本では写実的な表現を否定したものがシュルレアリスムだと思われがちだが、ダリもマグリットもきわめて写実的に描いていると指摘する。むしろ写実的に描くことこそがそうだという言い方さえあるという。もうひとつの誤解は作者の主観による自由な表現という理解で、話者はこれも逆で、自分の見ているものを客観的に捉えるのが根源的な考え方だと説明している。
文学から始まった: 起点にいるのは詩人で作家のアンドレ・ブルトンで、出発点は文学だったと説明する。第一次世界大戦で執筆の場を失い、文章とはそもそも何かを考え直した末にたどり着いたのが自動記述で、何も考えずに人間離れした速さで大量に書き続けるという方法だった。宣言は反響を呼んだが美術との関係までは書かれておらず、画家たちは自分たちなりに自動デッサンを始めることになったという。
画家たちがどう受け止めたか: ブルトンに食らいついたのがマックス・エルンストで、コラージュと、木目の上から紙をこすって写し取るフロッタージュを見つけた。自分が作っているのではなく、何かの力が生み出す場にたまたま立ち会っているだけだ、という境地に至ったと紹介する。マグリットは分かるように描いたうえで宙に浮くりんごのように配置だけをずらし、ダリは超絶技巧で時計などを描き、現実にはあり得ない世界を写実のまま見せたと説明している。