パレットナイフ
筆・道具
絵の具を練り、盛り、削ぐ金属のヘラ
どんな道具か
パレットの上で絵の具を練るための金属のヘラ。刃は先が丸められていて切れず、押すとしなる。混ぜるためのパレットナイフと、画面に絵の具を置くための柄が折れ曲がったペインティングナイフは別物で、描画に使うのは後者。油彩は粘りが強く筆だけでは色が均一に混ざらないので、先に練ってから筆を持つ。
選び方
最初の1本は刃渡り6〜10cmほどの細長い菱形が使いやすい。混色にも盛り上げにも回せる。値段は250〜4000円ほどと幅があるが、初めは安いもので十分。見るのは刃のしなり具合で、指で押すと軽く曲がり、すぐ戻るものがよい。固すぎると絵の具が伸びず、柔らかすぎると盛れない。
使い方のコツ
練るときは刃の腹を面でパレットに当て、押しつぶすように往復させる。画面に置くときは絵の具をすくって面で置き、そのまま引く。筆あとの出ない平らな面と、縁の鋭い稜線が同時にできるのがこの道具の持ち味で、厚塗りのインパストはナイフが担うことが多い。色を変えるたびに布で拭く。拭かないと画面上で濁る。
手入れ・注意
使い終わりは布で絵の具を拭き取る。乾いてから力任せに削らない。刃が一度曲がると平らには戻らない。鋼製は洗ったあと水気を残すと錆びるので、拭いてから仕舞う。刃先は鋭くないが角は立っているため、人に渡すときは柄のほうを向ける。刃を上向きにしたままパレットに置いて離れないこと。
解説動画: ナイフで絵の具を練り、画面の肌をつくる/uniatelier
二種類の呼び分け: 柄の付け根が折れ曲がったものをペインティングナイフ、刃がまっすぐなものをパレットナイフと、形状で呼び分けている。まっすぐなほうは主にパレットに固着した絵の具を掻き取る掃除用。金属製は油彩に、プラスチック製はテンペラやアクリルなど水性の絵の具に使う。紙パレットを金属の刃で押すと破くことがあるためだという。
最初の一本: 最初に揃えるなら刃の大きい涙型を勧めている。広い面積を練って塗れるうえ細かいところは先を使えばよく、大は小を兼ねるという理由。見るべきは刃のしなりで、しなったときに先が浮かず、全面がパレットに密着し続けるものがよい。ステンレスは錆びにくいがしなりが柔らかく感じる場面が多いと言う。
絵の具を練る: チューブから出したままの絵の具は顔料と油が分離していることが多く、そのままだと発色がよくない。練って均一にすると発色も乾きもよくなる。刃を密着させたまま進行方向側だけ少し持ち上げ、右へ動かすときは右、左へ動かすときは左を上げて手早く往復する。刃の上側に絵の具を乗せないのがコツで、乗ると縁に残って取りにくい。
画面に置いて肌をつくる: 下の色を全部隠さず、わざと隙間と凹凸が残るように置く。置いてから引っかいて下地を見せ、上から押しつけて傷跡をある程度隠す。表面を角のように立ててから撫でる、刃の腹に絵の具を付けて叩くように乗せる、といった置き方も見せている。筆では出しにくい画面の肌がつくれるので、普段から試すよう勧めている。