習作
見方・鑑賞
本番の一枚のための試し描き
どういう意味か
完成させる一枚のために、その前に描いておく試しの絵。人物の手だけ、背景の木だけというように部分を取り出したり、全体を小さな画面で一度組んでみたりする。売るためのものではないので未完成のまま残るものが多いが、迷いの跡が見えるぶん、完成作より描き方が分かることもある。
どこで出てくるか
美術館のラベルに《〜のための習作》という形で並ぶ。フランス語のエチュード、英語の study も同じ意味で、思いつきを走り書きするほうはエスキースと呼び分ける。グランド・ジャット島の日曜日の午後には板に描いた小さな油彩や素描の習作が60点ほど残り、2m×3mを超える本番と並べると段取りが見える。
使い方
写真でも同じことができる。本番の前に露出とアングルだけを確かめる一枚を撮っておくと、本番で迷わない。三分割法で一枚、中央に置いて一枚と撮り分ければ、それがそのまま習作になる。確かめたい一点だけを試すのがコツで、うまくいかなかった習作も捨てずに並べておく。
解説動画: デッサンの前に描くエスキースで最低限やること/デッサンと言う礎 - Atelier Ishizue
エスキースで何をするか: デッサンを描く前のエスキースでは、描きたい場所だけでなくモチーフ全体を写し取るのが最低限だと説明している。線を主体にして形を取るが、明度も一緒に写し取らなければならないという。ここを手抜きしたことが、そのまま本番のデッサンの失敗につながったと話している。
構図の決め方: 全体を写し取ったら、次は本番で使う画用紙の比率でトリミングする。動画ではF5サイズの紙を使うので、その比率の枠を何通りか当てて構図を検討している。全体を取ってあるからこそいくつもの構図を比べられるわけで、そこから一つに決めるまでがエスキースの工程だとまとめている。
やりがちな失敗: 例に挙げた失敗デッサンでは、4時間の制限に対してモチーフを詰め込みすぎ、布の柄の明度を描き出せず質感も表現できないまま終わっている。制限時間に対する仕事量を考えていなかったことが要因だとし、描き込むためのベースができた状態で完成には程遠いと評している。