寓意
見方・鑑賞
見えない考えを物や人の姿で表す
どういう意味か
自由や死や虚しさのような形のないものを、目に見える物や人の姿に置きかえて描くこと。旗を掲げた女性が国そのものを指したり、髑髏や消えかけた蝋燭が命の短さを指したりする。手がかりは画面の中に置かれているが、一つの正解に決めつけないほうがいい。同じ品物が別の絵では別の意味で使われる。
どこで出てくるか
美術館のキャプションに「〜の寓意」「ヴァニタス(人生のはかなさの寓意)」という形で出てくる。民衆を導く自由の女神の先頭に立つ女性は実在の誰かではなく、自由を人の姿にしたものと読まれる。アルカディアの牧人たちの墓碑銘も楽園にも死はあると解する説が強いが、訳し方は今も割れている。
使い方
絵の中に不自然に置かれた物を探すと入り口になる。足元の動物や鏡、窓は理由があって置かれていることが多い。アルノルフィーニ夫妻像の小犬は忠実さの印と読まれることが多いが、別の解釈もある。写真でも小道具を一つ足すだけで画面の意味が変わる。
解説動画: 《愛の勝利の寓意》に詰め込まれた擬人化を読む/山田五郎 オトナの教養講座
どういう絵として読み解いているか: 中央の女性はパリスの審判で得た金のリンゴを持つのでヴィーナス、羽が生えて矢筒を下げた若者はクピドで、息子とも従者とも言われると説明する。この2人を囲むものはみな何かの擬人化・寓意で、それらに囲まれても最後は愛が勝つという意味から《愛の勝利の寓意》と呼ばれているという。
怪しい少女の正体: 少女の顔をした人物は、体が蛇でライオンの足が生え、右手と左手が入れ替わっている。片手に蜂の巣を持ち、蠍のような刺すものも隠している。身体中が人を欺く作りになっていることから、欺瞞(嘘・偽り)の擬人化だと説明している。
囲んでいるものが指すこと: 花びらを撒こうと笑い足首に鈴を付けた子は、反対の足でトゲを踏んで血が出ているのに笑っているので愚かさの寓意。砂時計を背負う羽の生えた老人は時、頭が無いように見える人物は忘却、頭を掻きむしる人物は嫉妬だという。落ちている男女の仮面は肉欲の象徴とも読まれるが、ここは解釈が分かれると断っている。
大真面目に描かれた贈り物: この絵はフィレンツェの君主コジモ1世が、フランス王フランソワ1世へ贈る公式の進物として宮廷画家に描かせたものだと説明している。高価なウルトラマリンを贅沢に使った絵で、おふざけの絵ではなく大真面目な作品だと踏まえたうえで見てほしいと念を押している。