モチーフ

見方・鑑賞

絵を組み立てている個々の題材

どういう意味か

その絵に実際に描かれている物のこと。作品を成り立たせる材料にあたる。ひまわりなら向日葵と花瓶と背景のひとつひとつがモチーフで、絵全体が語ろうとしている内容のほうは主題と呼んで区別する。主題は言いたいこと、モチーフはそれを組む部品という関係になる。

どこで出てくるか

もとはフランス語で動機を指す言葉で、美術館の解説文には「〜をモチーフにした」という形でよく出る。絵画教室では果物や布を机に並べる作業を「モチーフを組む」と言い、並べた物そのものもモチーフと呼ぶ。写真では被写体とほぼ同じ意味で使われる。

使い方

同じモチーフを条件だけ変えて何枚も描く、あるいは撮ると、腕の差がはっきり出る。セザンヌはサント・ヴィクトワール山を1870年ごろから晩年まで描き続け、油彩と水彩を合わせて80点ほどが残る。並べて見ると同じ山が季節と時刻で違う形に見える。写真でも被写体を一つ決めて通えば、構図と光だけを比べられる。

解説動画: 写真でモチーフとテーマをどう分けて考えるか/写真家 林祐介【写真が好きになるチャンネル】

モチーフとテーマの違い: 一般的な定義として、テーマは作品のメッセージや目的を示すのに対し、モチーフは被写体そのものや特定のイメージを指すと説明している。似ていて重なる部分も大いにあるが性質はまったく違うもので、2つを分けて考えることが写真作品ではとても重要だという。自分も最初の頃は分けて考えていなかったと話す。

どちらで考えるかで写真が変わる: ヒグマが鮭をくわえた自作は、モチーフがヒグマでテーマは生態系だと説明する。生きるものと死ぬものが1枚に収まるほうが表現として強く、ヒグマがテーマだと考えて撮っていたら大した写真にならなかったという。白く咲くジャガイモの花の写真も、テーマを夏としていたから花に寄らず雲まで入る広い画角になったと話す。

言い方でつまずく所: 「花がテーマ」「東京がテーマ」という言い方はよく聞くが、それはテーマではなくモチーフだと指摘する。テーマは「〜について撮る」の〜に当たる作品のアイデアや哲学で、一瞬の美しさをテーマに花をモチーフとして撮る、東京をモチーフに文化や生活を表す、というところまで掘り下げるとよいという。「光と影がテーマ」も抽象的すぎるとも言う。

モチーフを前に出していい場合: 誰もが撮れるわけではない珍しい被写体は、撮っただけですでに存在価値があるので、テーマを考えずに撮り続けるうちにテーマのほうが見えてくると話している。人生で何度も出会えない一度きりの撮影なら、テーマより先にモチーフとして押さえるべきだという。モチーフは人に相談するより自分の好きなものでよい、とも言っている。