連作
見方・鑑賞
同じ対象を条件だけ変えて何枚も
どういう意味か
同じ対象や同じ主題を、条件を変えて何枚も描いた一組。一枚ずつでも作品として成り立つが、並べたときに変わるものと変わらないものが同時に見える。展覧会では朝・曇り・夕方といった副題が付いて、一室にまとめて掛かることが多い。
どこで出てくるか
ルーアン大聖堂は大聖堂の正面をほぼ同じ構図で描き分けた連作で、1892〜93年に現地で描き、翌年アトリエで仕上げた30点あまりが残る。その前の《積みわら》は25点からなる。浮世絵の「〜三十六景」「〜五十三次」のような揃物も連作にあたり、神奈川沖浪裏は、のちに全46図となった《富嶽三十六景》の一枚である。
使い方
一枚で決めようとせず、時間と天気を変えて同じ場所に通う。三脚の位置と画角を固定すると差が光だけになり、連作らしくなる。写真なら朝・昼・夕の三枚でも十分に成立する。絵でも同じものを繰り返し描くうちに形の迷いが減るので、モチーフを一つ決めて続けるのが早い。
解説動画: モネが積みわらを何枚も描いた連作の見どころ/美術の沼びと
どんな連作か: モネがジヴェルニーの自宅近くの畑で見かけた積みわらを、20数点描いた連作として紹介している。動画で並べているのはオルセー美術館にある1点と、6点ほどを持つというシカゴの美術館の作品で、後ろに見える丘まで同じ、同じ場所を描いたものだと確かめている。
並べて何が見えるか: 2点を比べると背景は同じなのに影の向きが完全に逆で、光の来る方向が違うと指摘する。片方は朝、もう片方は夕方に近いと見ていて、朝は光が強すぎて色合いが見えにくいのに対し、日が陰ると緑のような色がよく見えてくる、という違いがそのまま出ていると話している。
なぜ同じものを何枚も描けたか: 積みわらは脱穀の済んだ藁ではなく、脱穀前の麦を屋根のように積んだもので、脱穀の順番が回ってくるまでその場に置かれると説明している。季節のものではなく夏から翌春までほぼ1年あるため、同じ対象に何度も向き合えたのだという。
描き方の変化: 雪景色の1点は細部がほとんど無く画面はほぼ白で、後ろの丘も筆跡だけに近いという。大きさもこれだけ小さく、横長で揃う他の作品のなかで正方形に近い形だと見ている。別の1点については、後年の睡蓮に通じる幻想的な色合いの前触れが感じられるという見方も示している。