モノトーン
色
モノトーンは、色を捨てて明るさの差だけで見せる。
どんな型か
色相を1つに絞る、あるいは色を使わず明るさの差だけで描く組み方。墨だけの絵、白黒写真、セピア1色の画面などが当てはまる。テート美術館の用語解説は、油彩でも灰色の濃淡だけで描くグリザイユが古くからあり、20世紀には抽象画家たちが色を減らして精神性の純粋さや形の単純化を追い求めたと説明する。色という手がかりが消えるので、残るのは明暗と形と質感だけになる。
何が起きるか
色が無いぶん、明暗の配置がそのまま構図として読める。松林図屏風は紙本墨画の六曲一双で、墨の濃淡と余白だけで霧の中の松林を出している。42人に色つきと白黒の絵を見せた2012年の視線計測の実験では、人物が写る絵は内容の理解が視線を左右し、自然の風景の絵ほど色や明暗などの見た目の特徴が視線を左右する働きが強かったと報告している。
使い方
絵では最初にいちばん暗い所といちばん明るい所を決め、その間を3〜4段に割ってから塗り始める。色を塗る前に対象をモノクロ写真に撮っておくと、明暗の差が十分あるかを色に惑わされず確かめられる。写真はカメラのモノクロ設定で撮ればその場で明暗を確認できるが、あとで色に戻せるようRAWでも記録しておくと融通が利く。
やりがちなミス
明暗の差が小さいと、色も無いので画面に何も残らない。撮る前に「これは色が面白いのか、明暗が面白いのか」を見分ける必要がある。赤と緑のように、色は違っても明るさがほぼ同じ組み合わせは、白黒にすると境目ごと消えてしまうので注意がいる。色が主役の被写体を白黒にすると、ただ地味なだけの1枚になって終わる。
出典
- 公的機関・英語 Tate Monochrome
- 論文・英語 Davide Massaro, Federica Savazzi, Cinzia Di Dio, David Freedberg, Vittorio Gallese, Gabriella Gilli, Antonella Marchetti(2012) When Art Moves the Eyes: A Behavioral and Eye-Tracking Study
解説動画: モノクロ写真の明暗比率をヒストグラムで確かめる/都市と写真
モノクロをどう捉えているか: 普段はコントラストという言葉で片づけている所を、数字で見てみようという回。自分の撮る写真を調べると、画面に占める暗い部分が80〜90%、明るい部分は10〜20%という比率に偏っていて、この偏り自体が効いていると説明している。50:50や60:40のような半々に近い比率にはしないよう念を押す。
ヒストグラムの読みかた: ヒストグラムは横軸が明るさで、0が最も暗く255が最も明るく、127〜128が中間にあたる。縦軸はその明るさを持つ画素がどれだけあるかを示し、形が左に寄れば暗め、右に寄れば明るめの画像になる。右側の面積が全体の何%かを測るという見かたを示し、自作では12%や14.8%だったと挙げている。
目安を外すとどう見えるか: 右側10〜20%が一つの目安。同じ写真を教科書どおりに黒までディテールを残し、ハイライトも右端まで使って現像すると右側が30%近くになり、印象が弱くなると並べて見せている。30%以上になると危ないとし、10%を下回るのは好みの範囲だが、ハイライトはしっかり効かせるよう付け加えている。
なぜ偏らせるのか、撮るときはどうするか: 暗い画面の中に小さく明るい所があるとそこへ目線が誘導されるから、と理由を述べている。雪の中を黒いスーツの人が歩く写真は白黒が逆になるので、左側の面積を見て約10%と読み替える。要は明暗をどちらか一方へ偏らせること。撮る段階でも明るい範囲を広く入れず暗めに構えるとよいとし、例外は多いので絶対ではないと断っている。