リーディングライン

視線の導き方

線を引いて視線を目的地へ運ぶ

どんな型か

画面の中にある線を使って、見る人の視線を主役まで運ぶ考え方。道、線路、川、塀、影、並木、手すりなど、材料はどこにでもある。線そのものを見せるのではなく、線の行き着く先に主役を置くのが要で、置かなければ視線はそのまま画面の外へ抜けてしまう。

何が起きるか

人の目は連なったものを追う性質があるため、線を置くだけで見る順番を決められる。手前から始まる線はとくに強く、見る人が画面へ入り込む入口になる。カイユボットのパリの通り、雨では、奥へ伸びる石畳と街路が視線を奥へ運ぶ。雨の街を歩いている感覚になると解釈されることが多い。

使い方

絵では線の間隔を奥へ行くほど詰め、色も薄くしていく。写真は広角レンズで手前に寄ると線が長く伸び、しゃがむとさらに強まる。線の始まりを画面の角に置くと入口がはっきりする。線が一点に集まる場面はそのまま一点透視になり、曲がる線ならS字構図になる。

やりがちなミス

線の先に何も無いと、視線は主役を素通りして枠の外へ出ていく。逆向きの線を何本も入れると引っぱり合い、どこを見ればいいのか分からなくなる。線が主役を横切って分断する置き方も避けたい。電線や柵は強い線なので、入れるなら役目を持たせ、要らなければ立ち位置を変えて外す。

解説動画: 視線の通り道を設計して絵を最後まで見せる技術/PIVOT 公式チャンネル

リーディングラインとは何か: 絵の中で線状になっているもの、たとえば輪郭線や同じ形が連続している並びを、人の目は自然に追ってしまう。その追える流れをリーディングラインと呼んでいる。線だけでなく登場人物の目線や指差し、身振りも視線を導く。たどれる流れがあるほど、一枚の絵に目を留める時間が長くなると説明する。

まずどこを見るか: 最初に目が行く場所、つまり絵の主役は明暗のコントラストがいちばん強い所で決まると説明している。《オフィーリア》を白黒にすると顔の部分の明暗差が最も激しく、そこ以外が目立たないよう全体が調整されているのが分かる、という見せ方をする。一方で1箇所も突出させず全体へ均等に分散させる型の絵もあり、どちらの型かをまず見極めるとよいという。

視線の道筋は3タイプ: 画家は絵をまんべんなく見せるためのルートを設計しているとし、ぐるりと巡る周回型、奥へ折れていくジグザグ型、一点に集まる放射(集中)型の3タイプに整理している。穏やかな風景画にはジグザグが合い、斜めの線が集まる集中型は緊張感が出る。岸田劉生が切通しを描いた絵は、道や崖、雲の線までが奥の一点へ集まる集中型だと読み解いている。

画面の外へ逃がさない工夫: 何も描かれていない四角を見ると、人はまず中央、次に角、そして辺へ目を移し、そのまま外へ抜けてしまう。左右の辺から視線が出ていくのがいちばん困るため、線が端に当たる位置に建物を置いたり、端の人物をのけぞらせたりして押し戻すと説明する。これをストッパーと呼び、《オフィーリア》では頭の横の草が上へ、枝が右へ、白い花が下へと導き、右下の花が出口をふさいで一周して戻るとしている。