熱と除湿の負担

エネルギーと水

閉じた部屋では、入れた電力はほぼ熱として残ります。照明の熱と、蒸散した水を結露させる潜熱の両方を、空調が引き受けます。

何を決めるための考え方か

空調と除湿にどれだけの容量を用意するかを決めるための量です。断熱と気密の高い部屋では、冷房で取り除く熱がランプなどの電気機器の出した熱にほぼ等しくなります——日射も壁からの侵入もほとんど入ってこないからです。換気回数と密閉度を下げるほどこの近似に寄り、加圧に要る電力も送風に要る電力も、最後は熱として部屋に残ります。

何を計算・計測するか

顕熱は機器の消費電力の合計から、潜熱は蒸発した水の質量と気化熱の積(25℃前後でおよそ2.44MJ/kg)から出します。測るのは温湿度データロガーの内外の差と、水の収支で数えた回収量です。空調の電力は取り除く熱を成績係数(COP)で割った値で、Kozai 2013 は室温25℃・東京で年平均5〜6、夏がおよそ4、冬がおよそ10としています。

つまずくところ

ランプを全部消すと湿度が上がりきり、蒸散が止まります。Kozai 2013 は段を2〜3組に分け、各組を1日12〜16時間ずらして点灯して、一日中どこかの熱で除湿と冷房が回る形にする運用を挙げています。霧の蒸発は根のまわりを冷やしますが、その潜熱は除湿の負担として戻ってきます。養液の温度が上がるときは、部屋の熱と機器の発熱を分けて見ます。

どこまで確かめられているか

Kozai 2013 は電気エネルギー利用効率を0.007と見積もり、投入した電気のほとんどが熱として残るとしています。LEDについては Yu ら 2023(Horticulturae)が入力の8割超が熱として周囲へ出ると書き、Fang ら 2020 はCFDで297.5kW/m³の発熱源として置いています。噴霧栽培のチャンバーで顕熱と潜熱の内訳を測った公開値は見当たりません。

解説動画: Psychrometrics Made Simple/CaptiveAire

湿り空気の線図: 動画は湿り空気線図の読み方を説明します。横軸が乾球温度、左の曲線が飽和線で湿球温度、そこから右下へ落ちる線が湿球一定、曲線群が相対湿度。二つの値が分かれば残りの性質は全部読めるのがこの図の使いどころで、1904年にウィリス・キャリアが空調の設計用に作ったと紹介します。

結露が始まる点: 露点は空気に含まれる水分量そのものを表す絶対的な値で、水蒸気が結び始める温度です。動画は華氏75度・相対湿度50%の空気の露点をおよそ華氏55度と読み、冷蔵庫から出した華氏38度のボトルなら表面で結露すると示します。部屋の温度と湿度が分かっていれば、冷たい面がいつ濡れるかは先に読めるわけです。

顕熱と潜熱の分かれ目: エンタルピーは空気1ポンドが持つ熱量で、乾き空気ぶんと水蒸気ぶんの和として書けます。動画は空気の比熱を0.240Btu/ポンド・華氏度、水の蒸発熱を1061Btu/ポンドと挙げ、後者が桁違いに大きいために水蒸気がわずかに増えるだけで熱量が動くと述べます。前半が顕熱、後半が潜熱です。

潜熱のほうが重い: 線図の上で左右へ動くのが水分を変えない加熱と冷却、上下へ動くのが加湿と除湿だと整理します。潜熱の処理は等エンタルピー線を横切る向きになるので、顕熱の処理よりも動かす熱がずっと大きい。動画は見分け方も添えます——冷却コイルから水が滴っていれば、そこは潜熱側で冷やしている合図です。

室内の発熱を数える: どこまで冷やすかは室内の発熱で決まります。動画が挙げるのは照明・計算機・人・機器の熱と、窓や壁や屋根からの侵入で、顕熱を全熱で割った顕熱比が冷やし終える場所を決めます。閉じた栽培室でも照明の熱と、蒸発した水の潜熱を分けて数えることになり、水の収支で数えた蒸発ぶんが潜熱側にあたります。