送風に要る電力

エネルギーと水

風量を上げると、電力は3乗で効いてきます。相似則では、風量は回転数に、圧力は2乗に、動力は3乗に比例します。

何を決めるための考え方か

送風機を強くするか、通り道の抵抗を下げるかを決めるための関係です。相似則では回転数を上げると風量は1乗、圧力は2乗、動力は3乗で増えます。風を1割強めるだけで動力はおよそ3割増えるので、先に手を入れるのは経路の抵抗の側になります。抵抗をどう見積もるかは根の塊を多孔質として扱う、狙う速さの帯は株のまわりの風速の帯が引き受けます。

何を計算・計測するか

計算するのは風量 Q と、経路を通すのに要る圧力差 Δp、そして空気に与える動力 Δp×Q をファンとモーターの効率で割った値です。単位は風量がm³/s、圧力がPa、動力がW。測るのは風速計と温湿度データロガーで、同じ断面を何点かに分けて測り、平均だけでなく変動係数も出します。部屋との出入りは換気回数と密閉度の側で別に数えます。

つまずくところ

相似則が成り立つのは効率が変わらない範囲だけです。回転数や羽根の径を大きく振るとレイノルズ数も剥離のしかたも変わるため、3乗則の外挿は当てになりません。同じ風量でも配り方が違えば分布は別物で、Fang ら 2020 はダクトの孔数と孔径を変えた3案を比べ、12孔・径15mmの案で葉面の風速が0.28〜1.04m/sに入る割合が70.3%と報告しています。

どこまで確かめられているか

相似則は送風機工学の教科書の関係で、実際には成り立つ幅が狭いことも同じところに書かれています。Fang ら 2020(Biosystems Engineering)の数字は人工光型植物工場のレタスをCFDで解いた値で、噴霧栽培の根の側で測ったものではありません。

解説動画: Fan Laws How to Calculate CFM BHP SP RPM/MEP Academy

送風機の性能表: 動画はまず送風機の性能表の読み方から始めます。横に静圧、縦に風量(CFM)が並び、同じ型番でも回転数を上げれば884から1179CFMまで風量が伸びると説明します。静圧の欄を右へ進むと、同じ送風機を同じ速さで回していても風量は落ちていく——抵抗に食われていくのが表の上で読める、と述べます。

抵抗が増えると: 静圧を0.25インチから0.5インチへ上げた例では、風量は1000CFMから600台まで落ちます。動画が挙げる原因はダクトを細くする・曲がりを増やす・フィルターが汚れること。送風機は同じ速さで回り続けているのに出口へ届く風だけが減る、こうして現場の不具合が起きると言います。

回転数を上げる: 次に、静圧を0.4インチに固定したまま回転数だけを650から750回転へ上げる例を、動画は性能曲線の上でたどります。風量は600台から1000CFMまで戻ります。戻ったのは風量のほうで、静圧は動かしていない——速さだけを変えると結果がどう出るか、という読み方を示します。

1乗・2乗・3乗: 続いて式に進みます。風量は回転数に比例し、静圧は風量の比の2乗で、軸動力は3乗で効く。動画の例では2000CFMを2200CFMにするのに回転数を1000から1100へ上げ、軸動力は0.75馬力からおよそ1.0馬力へ増えました。風量の伸びより動力の伸びが大きい並びです。

先に触るところ: 動画が静圧の上がる原因として挙げたのは、細いダクト・多い曲がり・汚れたフィルターでした。動力は回転数の3乗で返ってくるので、風量を増やす前に通り道の抵抗を見るという順が出てきます。栽培の棚に置き換えれば、送風を強める前に根の塊を多孔質として扱う側の抵抗を数える番です。