最初の1湯をどう選ぶか

近さ・設備・泉質から、入りやすい施設を選ぶ考え方。

最初の1湯は、近さで選んでかまいません。日帰りで行ける施設なら、入ってみて自分に合わないと分かっても、次の施設を試すまでの間が短く済みます。遠方の名の知れた温泉地から始める必要はなく、近場の日帰り施設や銭湯で、浴室に入ってから出るまでの流れをひととおり覚えるほうが、最初の1回には向いています。

次に見るのは浴室の設備です。施設ごとに置かれている設備は違い、浴槽の温度計のように浴槽ごとの今の湯温を示す計器が据えてあるところもあれば、打たせ湯や電気浴器のように使い方が注意書きで決まっている設備を備えるところもあります。設備の数が多い施設ほど優れているわけではなく、露天風呂のように屋外に浴槽を置くだけの施設も、内湯だけの施設も、温泉法の上では同じ資格で湯を出しています。最初は設備の少ない施設で、洗い場の湯栓とシャワーを使って体を洗ってから浴槽に入るという基本の順番を覚えるところから始めてもかまいません。

選ぶ手がかりがもう一つ増えるのは、入口や脱衣所に掲示された泉質名を読むようになったときです。掲示用の泉質名は10種類あり、どの成分がどれだけ含まれているかで決まります。単純温泉は溶存物質の少ない湯で、刺激が比較的少ない湯として紹介されますが、肌への感じ方を保証する基準ではなく、業界団体による紹介にとどまります(日本温泉協会)。酸性泉は水素イオンの量で名前が付き、肌にしみることがある泉質で、硫黄泉は総硫黄の量で名前が付き、特有のにおいを伴います。名前を先に読んでから選ぶか、入ってから名前を確かめるかは、どちらでもかまいません。

脱衣所に泉質名の掲示が無い施設もありますが、それは療養泉の基準に届かなかっただけで、温泉法上の温泉に当たらないという意味ではありません。分析書には泉質名と並べて、泉温による冷鉱泉・低温泉・温泉・高温泉の区分、液性による酸性からアルカリ性までの区分、浸透圧による低張性・等張性・高張性の区分が示されます(神奈川県温泉地学研究所)。泉質名が無い施設でも、泉温・液性・浸透圧の3つの区分を読むと、湯の温度感や性質のおおまかな見当がつきます。

近さ・設備・泉質の3つは、どれか一つで決める必要はありません。近い施設を選んだあとに設備を眺め、入ってから掲示の泉質名を確かめるという順番で重ねられます。最初の1湯で全部を読み取ろうとせず、1回ごとに見る点を1つ増やしていくほうが、長く続けやすい選び方です。

この節に出てくる図鑑の項目

出典