後流

渦と後流

見られる場所: 外・街 / 大きさ: 人の大きさ

後流は、物の後ろに残る、周りより遅い流れ。

現象の中身

動く物の後ろには、周りより速度が落ちて乱れた帯が残ります。幅は物の大きさと形で決まり、角ばった車の後ろでは車体の高さほどの帯が数台分の長さまで伸びます。中は圧力がわずかに低く、細かい渦が混ざりながら少し遅れて周りの流れに溶けます。後ろが平らに切り落とされた形ほど、この帯は太くなります。

起きる理由

物は流れを押しのけて進むので、その分の勢いを流れに渡します。渡された空気は物と同じ向きに動き出し、周りから見ると遅れた帯になります。この帯が持ち去った勢いこそが、物が受ける抗力の正体で、後流が太いほど抵抗が大きくなります。後ろをなだらかにすぼめれば後流は細くなりますが、角度しだいです。車を単純にした模型では、後ろの傾斜が30°付近で流れの様子が入れ替わり、抗力係数が急に変わります(Fukuoka ら 2026 の整理)。

見られる場面

高速道路で大型車の後ろに入ると風が急に静かになる場所、船の後ろに続く泡の帯、走る人のすぐ背後。自転車のドラフティングは、この遅い帯に体を入れて自分が押しのける空気を減らす走り方で、2〜4割ほど力がいらなくなるとされます。ただし車間が近すぎるのは危険で、公道でまねをするものではありません。

勘違いしやすいところ

後ろが真空になって引っぱられるわけではありません。後流の中は少し圧力が低いだけで、大気圧に比べればごくわずかな差です。抵抗とは、前で強く押される力に対して後ろから押し返す力が足りない差のことで、「吸い込む力」という言い方は起きている向きを取り違えています。押しているのはいつでも周りの流体の側で、吸う力という部品はどこにもありません。

出典

  1. 公的機関・英語 NASA Glenn Research Center(Nancy Hall編)(2025) Shape Effects on Drag
  2. 論文・英語 Fukuoka S, Nagano H, Shimano K, Shiratori S(東京都市大学・MCM 2026 の拡張要旨)(2026) Range Of Reynolds Number and Slant Angle for Occurrence of Steep Drag Change in Flow Around Ahmed Body