have / has
動詞
have・hasは、サイレントEの規則なら「ヘイヴ」ですが、実際は/hæv/になる語です。英語は語末をvで終わらせないため、音とは関係なくeを付けています。give, live, love, aboveも同じ理由です。三人称単数のhasでsが/z/に濁るのも、isやwasと同じ、有声音のあとでsが濁る規則によるものです。
なぜ規則外?
サイレントE の規則なら「ヘイヴ」ですが、実際は/hæv/ です。英語は語末を v で終わらせないため、音とは関係なく e を付けます。give, live, love, above も同じ理由です。語源辞典 Etymonline によると、have は古英語の habban(「持つ・所有する」)にさかのぼり、ゲルマン祖語の *habjaną を経て、インド・ヨーロッパ祖語で「つかむ」を意味する語根 *kap- に行き着くとされています。三人称単数の has で s が/z/ に濁るのも、isやwasと同じ、有声音のあとで s が濁る規則によるもので、have だけの特殊な例外ではありません。
読み方
/hæv/ ——「ハヴ」。cat と同じ母音です。has は /hæz/。言語学者ピーター・ローチの音声学の教科書をまとめた資料によると、文中で弱く読むときは have が /əv/ か /v/、has が /əz/ か /z/ に縮み、文末や強調するとき以外はこの弱形のほうが基本になります。
使われ方
助動詞として使うときは弱形になり、I have → アイヴ、has been → ァズビンのようにほとんど消えます。完了形が聞き取りにくいのはこれが理由です。この弱形の /əv/ はofの発音とほとんど区別がつかないため、would have・should have を would of・should of と書き間違える英語話者は少なくありません。マサチューセッツ大学アマースト校の言語学者バーバラ・パーティーは、言語学者向けブログ Language Log で、一部の非標準的な英語では of がすでに have から独立した要素として使われ始めているという見方を紹介しています。
出典
- 資料・英語 Etymonline(Douglas Harper) have
- 資料・英語 Martin Weisser(言語学者) Strong & Weak Forms
- 資料・英語 Barbara Partee(マサチューセッツ大学アマースト校・言語学者)(2009) Wouldn't of have
解説動画: have の2種類——完了形の have は音が消える/Yumi's English Boot Camp
have は2種類ある: 「〜を持っている」の動詞の haveと、完了形をつくる助動詞の haveを別物として切り分けている。動詞の have は文の意味を担う内容語なので、はっきりストレスを乗せて発音する。対して have+過去分詞の have は後ろの動詞を助けるだけの機能語で、ここにストレスを乗せると英語として不自然になる。
助動詞の have は消える: 機能語なので音の脱落が起き、I have は「アイヴ」のように縮む。has は 's の音が残るので気づけるが、have は h ごと落ちてほとんど聞こえない。言っていないように感じるだけで実際は言っている、という点を強調している。have の音を探しながら聞くと、完了形が丸ごと聞き取れなくなる。
どこを強く読むか: How many times have you seen it? を例に、メインの動詞 seen にストレスを置き、have は軽く流すと実演している。have を「ハブ」と強く読むと文のリズムが狂う——英語はリズムの言語で、内容語として使われているか機能語かで、同じ単語でも音が変わるという立場。
could have も同じ: 仮定法の could have / would have も、「クド・ハブ」と切って読まず、have の h が落ちてひとつながりになる。It could have been worse(もっと悪かったかもしれない=不幸中の幸い)では could have been がひとかたまりになり、worse だけがはっきり残る。完了形の文を自分で音読して慣れるよう勧めている。
解説動画: 【英語で必須】Haveがイメージできねぇだって?このコアイメージを覚えよ!/サイモンのイキれる英語教室
haveのコアイメージ: 動画は、have に「持つ」「食べる」「病気にかかる」など多くの訳があっても、ネイティブは意味がいくつもあるとは考えておらず、自分のテリトリーの中に存在しているという1つのコアイメージで使い回していると説明しています。話者は日本語の「引く」を例に、縄・風邪・辞書・引き算が1つのイメージでつながるのと同じ感覚だと述べています。
getやtakeとの違い: 動画は、take を自分から手を伸ばして持っていく能動的な動作、get を持っていない0の状態から持っている1の状態に切り替わる到達の瞬間と整理しています。これに対して have は変化の動きが一切ない静かな状態を表すと述べています。風邪では、I got a cold が引いた瞬間、I have a cold が今引いている状態を表すといいます。
飲食・所有・症状・出来事: 動画は、have が飲食(I have a coffeeなど)、妹やペットがいる関係、頭痛や風邪の症状、会議や楽しい時間といった出来事に使えると紹介しています。飲食では eat や drink が口に運ぶ動作を指すのに対し、have は食事の時間全体を含む柔らかい表現だといいます。会議は具体的なタスクを実行する do ではなく、予定の中にイベントとして存在するので have a meeting になると述べています。
義務と使役のhave: 動画は、have to を、義務や必要性が外のルールや圧力によって自分のテリトリーに押し込まれた状態で、自分の判断で勧める should よりはるかに強制的だと説明しています。人にやってもらう使役の have は、相手が自分のテリトリーの中で当然の役割として動いてくれる感覚で、やりたがっていることを許可してやらせる let とは違うと述べています。
髪を切る・被害の形: 動画は、have に物と過去分詞を続ける形で、美容室で切ってもらったときは I had my hair cut と言い、I cut my hair だと自分で切ったニュアンスが出ると説明しています。同じ形の I had my wallet stolen は財布を盗まれた被害を表し、話者は自分の意思と関係なく不意の状態が自分のテリトリーに存在してしまっている感覚だと述べています。