ヒヨドリのピーヨ
街でよく聞く声
ヒヨドリのピーヨは、「ピーヨ」「キーヨ」と、甲高い一声を尻上がりに長くのばす声です。
聞きなし
日本野鳥の会は「ピーヨ」「キーヨ」と甲高くのばす声を挙げ、「ピーヨロイ、ロピ」とも鳴くとしています。文字にすると、語頭を強く出し、そのまま尻上がりに引きのばす形です。人の耳にはヒーヨ、ピーヨと二音に割れて聞こえることも多く、書き手ごとに表記が揺れます。ヒヨドリという名はこの声が由来とされ、鳥の名前と鳴き声を調べた国語研究にも記録があります。文字を合わせにいくより、一声をどれだけ長く引くかを覚えるほうが、姿の見えない場面で効きます。
声の種類
さえずりではなく地鳴きに当たる声です。ヒヨドリには繁殖期だけの特別な歌が無く、季節を問わず一年中、同じ調子で鳴くこのピーヨが地鳴きの役目を担います(日本野鳥の会の解説者)。ウグイスのホーホケキョのように節の形が決まった歌とは、そこが違います。繁殖期には声が重なり込み入って聞こえますが、ピーヨそのものの形は変わりません。
聞こえる時期と場所
一年中聞こえます。日本野鳥の会は市街地から山地の林までいるとしており、住宅地の電線や屋根の上、公園の高い枝から夜明けのうちに鳴き始めます。飛びながら鳴くのが特徴で、上下に波打つ飛び方と声が一緒に動くため、姿を探す前に方向が分かります。国内で季節ごとに動く漂鳥の面もあり、渡る群れは津軽海峡や関門海峡沿いなどでよく見られます。関西では9月上旬から渡りが始まり、数十から数百羽が低い高さを日中に移動します。
似た声との違い
濁るかどうかが分かれ目です。ムクドリの「キュルキュル」「ジェー」やオナガの「ゲーイ」はしゃがれて濁り、語尾がのびません。ヒヨドリの声は澄んだ高音がそのまま伸びるので、同じ並木から出ていても質で分かれます。秋に重なるモズの高鳴きは「キーッ、キチキチキチ」と刻みが入り、一声を長く引くか、細かく刻むかという一点で離せます。距離があって音色まで届かないときも、この長さの差だけは残ります。
声の意味
仲間の位置を知らせる声として鳴いています。群れで動く鳥なので、飛び立つ前後や、木から木へ移るときによく出ます。同じ木に別の個体が来ると声が重なって激しくなり、追いかけ合いに変わることもあり、花の咲く木や実のなる木に集まる時期はとくに騒がしくなります。繁殖期の縄張りでは声の応酬がそのまま境目の確かめ合いになり、同じ場所で朝ごとに聞こえるなら、通りすがりではない一羽と見られます。渡りの群れは縄張りを守る気配が薄く、声がにぎやかです。
出典
- 動画 Canon(日本野鳥の会の解説者) 【解説:日本野鳥の会】動画で野鳥観察~ヒヨドリの生態~
- 論文 国立国語研究所 鳥の名前の語源と鳴き声に関する一考察
- 論文 日本生態学会第52回大会 ヒヨドリの渡りを日本の上から眺めたら
- 資料 日本自然保護協会(北海道大学大学院の研究者) あのヒヨドリ、遠くから来たかも
