チョウセンアサガオの誤食
口に入ったとき
チョウセンアサガオの誤食は、野菜との取り違えで起き、口が渇いて瞳が大きく開きます。
起きること
口にしてから数十分のうちにのどの渇きが始まり、続いて瞳孔が開いて物がぼやける状態になります。厚生労働省の資料は、チョウセンアサガオ類の中毒症状として口渇、瞳孔散大、意識障害や幻覚、頻脈、けいれんを挙げ、2005〜2009年は毎年のように事例があったとしています。顔が赤く、皮膚が乾いて熱を持つのもこの型です。触れただけでも、指で目をこすり片方の瞳だけが開いた例が海外の症例報告にあり、数日で戻っています。
原因になる植物
ナス科のチョウセンアサガオ類で、成分はアトロピン、スコポラミン、ヒヨスチアミンなどのトロパンアルカロイドです。同資料は根、果実、蕾、葉、種子を有毒部位に挙げ、取り違えの相手として「根とゴボウ、開花前のつぼみとオクラ、葉とモロヘイヤやアシタバ、種子とゴマ」を並べています。兵庫県では2008年にきんぴらごぼうにした根で2人が発症し、沖縄県では、台木にしたナスの実のミートソースを食べた夫婦が意識混濁を起こしています。
現場での対処
自分の判断で吐かせることはしません。意識のはっきりしない相手に水を飲ませるのも避けます。口の中に残っていれば出し、口にした部位と時刻を控えます。この中毒は見当識が失われて動き回ることがあるため、目を離さず、階段や道路から遠ざけます。連絡先は日本中毒情報センターの中毒110番で、その番号は子どもが実を口に入れたときの項にあります。
受診の目安
瞳孔が開いている、受け答えがかみ合わない、脈が速い、のいずれかがあれば、待たずに救急へ運びます。症状がのどの渇きだけでも、口にした部位が根や種子なら受診します。医療機関では口にした部位と量、経過した時間が処置を決めるので、残った株や刻んだ切れ端を持参します。回復まで日数がかかることがある中毒で、症状が引いたように見えても運転や自転車には戻りません。
起こさないために
野生化した株を畑や花壇の隣に残さないことが先に立ちます。街では空き地や川沿いの野生化した株、庭のキダチチョウセンアサガオが入口になります。白い大きなラッパ形の花とトゲのある果実を見たら、根も種子も同じ扱いにします。根がゴボウに似るため、掘り上げた根を畑の土の上に置きっぱなしにしません。花や実を持ち帰らないこと、種子が土の中で長く残ることも覚えておきます。興味本位で種子をかむ10代の誤用も海外の報告にあります。
出典
- 公的機関 厚生労働省 自然毒のリスクプロファイル:チョウセンアサガオ
- 公的機関 兵庫県 有毒植物による食中毒について
- 論文 大城直雅, 國吉和昌, 中村章弘, 新城安哲, 玉那覇康二, 稲福恭雄(2008) チョウセンアサガオに接木したナスによる食中毒事例
- 論文・英語 Andreola B, Piovan A, Da Dalt L, Filippini R, Cappelletti E(2008) Unilateral mydriasis due to Angel's trumpet
- 論文・英語 Macchiaiolo M, Vignati E, Gonfiantini MV, Grandin A, Romano MT, Salata M, Valentini D, Villani A(2010) An unusual case of anisocoria by vegetal intoxication: a case report
- 論文・英語 Khoshnam-Rad N, Heydari M, Mohammadi K, Mashayekhi M, Sahraei Z, Gholami K(2022) Datura poisoning in a family: Case series and literature review
