窓から見る
毎日同じ窓から、変化を追う見方。
窓から見る空は、毎日同じ枠で切り取られる。まず窓を1つ決め、向いた方角と、建物や木で隠れる範囲を書き留める。雲の観測は地平線まで含めた空の全体を見るもので、雲は思わぬ方向から広がってくることもある(WMO 国際雲図帳)。窓1つから見える空では、全体はつかめない。記録には、見た方角と見えた範囲を添える。見える範囲を先に決めておけば、翌日からは同じ条件で比べられる。
見る時刻も固定する。毎日同じ時刻、たとえば朝食のあとに外を見て書き留め、まず5日続ける(SciShow Kids の天気観察の案内)。気温は体感で書かず、温度計の数値を添える(同)。1年続ければ、その土地で最も暑かった日と寒かった日、初雪の日付が記録から分かる(同)。窓と時刻をそろえると、日ごとの違いは空の側にだけ残る。
名前は、高さを決めてから形を決める。雲は高さと形で10種類に分かれ、下層は地上から約2000m、中層は約2000〜7000m、上層は約5000〜13000mが目安になる(三重大学の観察実験講座)。名前の漢字がそのまま手がかりで、巻は上層の高い雲、高は中層、積は縦に積もる形、層は横に広がる層状、乱は雨を降らせる黒みのある雲を指す(同)。窓からは雲底の高さを測れないので、粒の見かけの大きさを代わりに使う。雲の研究者の荒木健太郎は、腕を伸ばした指1〜2本に粒が隠れるなら巻積雲、指からはみ出るなら高積雲と見分けられると説明している。指3本でようやく隠れる大きさを中層の目安に置く数え方もある(ウェザーニュースの解説)。どちらの数え方でも、粒が小さく見えるほど雲は高い。塊がさらに大きく、暗い区画が蜂の巣のように並ぶものは下層の層積雲で、丸い塊やロール状にも見える(NOAA)。
太陽が見える日は、光の通り方が層の厚みを教える。太陽本体を直接見ない。双眼鏡やカメラも太陽に向けない。地面の物の影が出ず、太陽がすりガラス越しのようにぼやけるなら高層雲で、この層では暈が出ない(NOAA)。輪が出るなら氷の雲で、巻層雲の六角形の氷晶を光が通ると内暈ができる(米国気象局)。細い筋が太陽を横切っても明るさがほとんど落ちないなら巻雲(NOAA)。空一面が厚く暗く、太陽が完全に隠れていれば乱層雲になる(NOAA)。灰色でも太陽の輪郭がはっきり分かるなら層雲で、厚ければ霧雨や雪粒を落とす(NOAA)。同じ灰色の空でも、影と輪と輪郭の3つで層の厚みが分かれる。
同じ窓を1日に3回見ると、雲の1日が見える。陸上では晴れた日の日中の対流で積雲が生まれ、朝に現れて育ち、夕方に向かって消えていく(NOAA)。正確な観測は、雲が絶えず移り変わる様子を書き留めることに支えられる(WMO 国際雲図帳)。前に出ていた積雲の頂が広がって高積雲に変わるような移り変わりも、窓を決めていれば追える(同)。薄い雲は太陽の光を多く通し、低く厚い雲はそれを遮る。曇りの日でも光の一部は地表に届く(アイオワ科学センターの GLOBE 観測の解説)。窓辺の明るさの変化も、層が厚くなったかの手がかりになる。雲が塔のように立ち上がって積乱雲に育つ日は、観察を切り上げ、気象庁の発表を確かめる。
朝と夕方の窓は、ほかの時刻には見えないものを見せる。日の出と日の入りの空では、色の移り方から複数の層の重なりが読み取れる(WMO 国際雲図帳)。巻雲は日の出の前と日没の後に黄や赤に色づく(NOAA)。薄い上層の雲を探すなら、側面も覆う偏光サングラスをかけると青空との差が出る(WMO 国際雲図帳)。写真で同じ差を付けるなら偏光フィルターがある。
つまずきやすいのは3つある。1つめは、1回見ただけで名前を決めることだ。雲は絶えず形を変えるので、同じ窓から数十分おきに見直す。2つめは、窓1つから見えた空を「今日の空」として書くことだ。見た方角と、建物で隠れた範囲を添えれば、あとから読み返せる記録になる。3つめは、数日の記録でその土地の傾向を言ってしまうことだ。天気は長い期間では季節ごとの傾向を示すが、季節の変わり目の変化は読み取りにくい(SciShow Kids の案内)。
