最初に見る場所を決める
大きさ・形・色・動きの、どこから見るかの順番。
鳥を見つけた瞬間に何を先に見るかで、わかることの量が変わります。色や模様から入ると、光の当たり方で印象が変わりやすく、飛び去ってからでは確かめ直せません。輪郭を決めてから細部へ進む順番を覚えておくと、短い時間でも手がかりを取りこぼしにくくなります。
まず大きさです。スズメより大きいか小さいか、カワラバトやハシブトガラスと比べてどちらに近いかという、相対の見方をします。物差しではなく知っている鳥との比べ合わせなので、距離が遠くても逆光でも使えます。
次に形です。識別の手がかりでは、色より先に大きさと形を見るほうが多くを語るとされています(Indiana Audubon Society の解説記事)。嘴の長さと太さ、尾羽の長さと切れ込み、翼と体の長さの比率、まっすぐか前かがみかという姿勢の軸が、色より先に見る対象として挙げられています。
形までで候補がいくつかに絞れたら、次は動きです。木の幹を登るか、地面を歩くか、短い距離を跳ぶように移動するかという動き方も、色より先に確認する手がかりとして使えます(同じ記事)。大きさと形の全体の印象(GISSと呼ばれる見方)でまず候補を絞り、色は最後に確かめる「ボーナス」だという見方もあります(カリフォルニア州立大学チコ校名誉教授で鳥類学者のロジャー・レデラー氏)。晴れた日と日陰では同じ個体でも色の見え方が変わるため、最初の手がかりには向かないという理由です。
色を見るときも、模様全体より先に、位置が決まった場所から見ると見比べやすくなります。目のまわりを囲むアイリングの有無、目を通る過眼線や目の上の眉斑の有無、畳んだ翼に出る翼帯の本数、尾の縁を作る外側尾羽の色は、どれも場所が決まっているぶん、あとから図鑑や記録と突き合わせやすい手がかりです(同じ記事)。これらの部位の名前を先に覚えておくと、大きさと形で絞った候補を、色の細部まで確かめて決める段がスムーズになります。大きさと形で候補を絞り、動きで候補をさらに絞り、最後に色と模様の細部で決める、という順番を覚えておくと、とっさに鳥が現れたときも手順に迷いません。
