自然・危険生物図鑑 | オトモネイチャー

ヤマビルは、雨の日の登山道で足元から取りつく吸血生物。

ヤマビル
写真: Alpsdake / CC0(Wikimedia Commons)

見分け方

伸びると3cmほどの陸のヒルで、4〜11月に現れ、雨の日やその翌日に活発です。日陰の湿った山道で落ち葉に潜み、足元から上ってきます。各地の個体が吸った血のDNAから宿主を調べた研究では、17種の動物が見つかり、ニホンジカが中心で、シカのいない地点ではカエルが主でした。山と溪谷ch.の専門家は、標高1000m前後以下でシカの多い山に出てくると話します。

危険・注意

吸血中は唾液の成分で痛みを感じにくく、血が固まりにくくなって離れたあとも出血が続きます。かゆみは後から出ます。日本中部の81歳の男性が、ダニに咬まれた形跡がないまま、ヤマビルに咬まれた8日後に発熱・発疹・刺し口が出て日本紅斑熱の病原体の感染が報告された1例があり、著者らは媒介の可能性を指摘しています。

出会ったら

予防は足元が要で、ズボンの裾を靴下に入れ、靴や靴下に忌避剤をかけます。目の粗い靴下は隙間から入られます。塩水より虫よけスプレーのほうがはっきり効きます(山と溪谷ch.)。雨で流れやすいときは、服や靴にかける専用品(皮膚には付けない)が向きます。付いたら塩や虫よけスプレーで取り除き、傷口は水で時間をかけて洗い、ガーゼや絆創膏で押さえます。

解説動画

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山と溪谷ch.

の解説動画

登山者のためのヤマビル対策!色々試してみました ※注意 ヤマビルの映像が出ます。苦手な方は試聴をお控えください

足元から上がってくる

動画は登山ガイドと一緒に、ヤマビルに何が効くのかを山で試していきます。潜んでいるのは薄暗くて湿った落ち葉のある場所で、2mほど離れていても人の熱や二酸化炭素を感じ取って寄ってくると話します。実際に靴を近づけると向きを変えて集まり、思ったより速く這い上がってきます。木の上から落ちてくることはまずなく、守るべきはとにかく足元です。

靴下とストッキング

靴下は古くなって糸と糸の隙間が荒くなると、そこから入り込まれて血を吸われます。目の詰まったものを選ぶのが前提です。ガイドがヒルの多い山で履いているのはパンティストッキングで、網目の上からは皮膚に食いつけず、つま先まで覆われるので入る隙がありません。ただし伝線や穴が開いたところからは吸われるので、破らないよう丁寧に扱います。

忌避剤と虫よけを試す

靴に満遍なくスプレーするのが忌避剤をかけるコツで、かけた足にはヒルが取り付いても嫌がって落ちていきます。何もつけないと次々に登ってきて落ち着いて歩けないので、まず足元にかけるよう勧めます。ディートを含む一般的な虫よけでも近寄っては逃げ、ディートなしのものでもすぐには登ってきません。専用の忌避剤はとにかく効くというのが結論です。

休憩とザックの置き場

休むときは落ち葉を払って地面をむき出しにします。ヒルは乾燥に弱く、土が見えている場所にはほとんどいないからです。歩くときも乾いた登山道の真ん中を選ぶと登られにくくなります。ザックは地面に置くと取り付かれ、背負ったときに背中へ入られるので、スリングとカラビナで木に吊るすやり方を見せます。木からは落ちてこないので安心だと言います。

ついたヒルを落とす

最後に、塩や濃度20〜30%の食塩水、化粧水、日焼け止めスプレーを、取り付いたヒルに実際にかけて落ちるかを試します。化粧水でもヒルはポロリと落ち、日焼け止めでもはっきり落ちました。忌避剤が無かった時代は塩や化粧水で工夫していたそうで、身近なもので乗り切れると話します。冷静に対処できるようになったと結びます。

出典: 山と溪谷ch.(YouTube)で動画を見る ▶

出典

  1. 論文・英語 Morishima K ほか(Ecology and Evolution)(2020) Sika deer presence affects the host-parasite interface of a Japanese land leech
  2. 論文・英語 Sando E ほか(Emerging Infectious Diseases)(2019) Rickettsia japonica Infection after Land Leech Bite, Japan
  3. 公的機関 日光市 環境森林課(2024) ヤマビルの吸血に注意しましょう!
  4. 動画 山と溪谷ch. 【専門家が解説】登山でのヤマビル・マダニ対策&正しい応急処置