自然・危険生物図鑑 | オトモネイチャー

アシナガバチは、細い体で脚を垂らして飛ぶ蜂。

アシナガバチ
写真: photographer=User:Opencage / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)

見分け方

体長はセグロアシナガバチで21〜26mm、フタモンアシナガバチで14〜18mmです。巣はシャワーヘッドのような形で巣穴がむき出しで、軒下やベンチの裏、たたんだタープの内側にも作られます。4〜6月に冬眠明けの女王が巣づくりを始め、6月中旬から働き蜂が羽化して巣が大きくなり、9月下旬〜10月上旬に最大です。巣は1年限りで、越冬するのは新女王だけです。

危険・注意

性質はスズメバチより穏やかですが、セグロアシナガバチは巣を刺激すると働き蜂がいっせいに飛び立って攻撃します。刺される被害は7月中旬〜8月中旬に最多で、9月中旬〜10月にも小さな山があり、こちらは干した洗濯物や布団に潜り込んだ新女王によるものと、1997年度の厚生労働科学研究は報告しています。毒はアナフィラキシーを起こしうるので、以前に刺された人ほど油断できません。

スズメバチ
スズメバチ写真: 不明 / CC BY-SA 2.5

出会ったら

巣を見つけたら2m以上は離れ、椅子やテントの位置をずらすのが確実です。巣を振動させたり棒でつついたりしなければ襲われないと横浜市は説明しており、巣のあるベンチやポールは揺らさず、黒い服は避けます。刺されたら流水で洗って冷やし、抗ヒスタミン薬の軟膏を塗ります。ひどい腫れ・じんましん・めまい・吐き気が出たらすぐ医療機関へ向かってください。

解説動画

視聴済み

0/1

生物クラブ

の解説動画

アシナガバチの生態と、身近な場所での付き合い方

どんな蜂か・スズメバチとの見分け

アシナガバチはスズメバチ科アシナガバチ亜科に属する蜂の総称で、体長は2.1〜2.6cm程度、細身でくびれた胴体と長い脚、黄と黒の縞模様が特徴である。市街地や公園、草むらなど身近な場所に住むため、ミツバチやスズメバチより見かける機会が多い。スズメバチとの見分けは体の細さと飛び方で、直線的に速く飛ぶのがスズメバチ、フラフラとゆっくり飛ぶのがアシナガバチと説明している。

巣の作り・大きさ

アシナガバチの巣にはスズメバチのような外皮がなく、部屋がむき出しになっている。材料は樹皮に唾液由来のタンパク質などを混ぜたもので、スズメバチの巣が洋紙ならアシナガバチの巣は和紙と例えられるほど丈夫である。作る場所は雨風をしのげる乾いた開放的な場所で、屋根の軒下やエアコンの室外機、ベランダ、庭木など。日本の巣は直径10cm程度、1つの巣に100匹ほどで、500〜1000匹になるスズメバチより小規模である。

性格と危険度

基本的におとなしく、こちらが巣にちょっかいを出さなければ襲ってくることはない。ただし巣に近づくと怒って刺しにくるほか、巣が大きくなる夏は一年で最も攻撃性が高くなる。毒はスズメバチより弱く死に至ることはほとんどないが、数千人に1人ほどの割合でアナフィラキシーショックを起こす例がある。日本にいる11種のうち、市街地に多く被害件数も最多のセグロアシナガバチと、毒針を見せつけて威嚇し刺されたときの痛みが最も強いキアシナガバチが危険とされる。

洗濯物にたかったときの対処

洗濯物に何匹も群がっているのを見つけたら、夕方のおとなしい時間にハンガーごと洗濯物を地面に落とすという対処を紹介している。アシナガバチは地面に落ちた洗濯物には興味を持たないためで、作業するときは白い長袖を着るなど襲われにくい格好をしておく。特定の衣類にだけ集まるのは、厚手の靴下に残った匂いや芳香剤の香りに引き寄せられるためで、集団で同じ場所に静止する習性から数匹がまとまって止まる。

益虫としての顔と、駆除するかどうか

成虫は青虫やヨトウガの幼虫、アブラムシ、バッタ類などを狩り、顎で切り裂いて肉団子にして幼虫に与える。成虫自身は固形物を消化できず、代わりに幼虫が出す液体状の栄養をもらって生きている。農業害虫を捕食してくれる益虫としての面が大きい一方、人の生活圏にできた巣は駆除するのが無難だとしている。ただし10月以降に見つけた巣は新女王が生まれて役目を終えた後なので、そのままにしてよい。巣が再利用されることもない。

出典: 生物クラブ(YouTube)で動画を見る ▶

出典

  1. 公的機関 名古屋市 健康福祉局 衛生研究所(2025) スズメバチ類・アシナガバチ類
  2. 公的機関 大阪市旭区役所 保健子育て課(2022) ハチ類について
  3. 公的機関 大阪市西区役所 保健福祉課(2019) ハチってどんな虫?
  4. 公的機関 横浜市(2024) アシナガバチの駆除について
  5. 公的機関 札幌市保健福祉局 保健所 生活環境課(2025) スズメバチ類、アシナガバチ類
  6. 公的機関 水谷澄(日本環境衛生センター)・厚生労働科学研究成果データベース(1997) ハチによる刺症事故防止に関する研究

関連

関連する自然・危険生物1