ホエイプロテイン(WPC/WPI)
プロテイン
吸収が速い王道のたんぱく源
役割
牛乳から乳脂肪とカゼインを取り除いて作られるたんぱく質で、必須アミノ酸をバランスよく含み、筋肥大の引き金になるロイシンが特に多いのが特徴です。飲んでから血中アミノ酸が立ち上がるまでが速く、トレーニング直後のように材料を素早く届けたい場面に向いています。
摂り方
1回20〜25gを目安に、トレーニング後や朝食、間食など、食事だけではたんぱく質が足りない場面を埋める使い方が基本です。水や牛乳200〜300mlに溶かします。WPCは乳糖や乳由来の成分を少し残した標準タイプ、WPIはそこからさらに乳糖を取り除いた高純度タイプです。
注意
あくまで食品なので、たくさん飲めばその分だけ筋肉が増えるという性質のものではなく、一日の総摂取量の中で足りない分を補う位置づけです。牛乳でおなかを下す人はWPCの乳糖で不調が出ることがあり、その場合はWPIやソイプロテインを試します。腎臓に不安のある方は医療者に相談してください。
解説動画: プロテインはホエイでよい、ブランドはコスパで選ぶ/片倉岳人/ダイエットの知恵袋
ホエイとソイのどちらを選ぶか: 種類が増えすぎて選べない人向けの回。ホエイとソイのどちらかと聞かれたらとりあえずホエイでよいと答えている。ホエイでは痩せない、ソイでは筋肉がつかないというのはどちらも迷信で、効果は言うほど変わらない。ただしホエイの方がタンパク質として少し優秀で、味の種類も多く、値段も安いため、あえてソイを選ぶ理由が薄いという理屈である。
ソイが向く人: それでもソイが向くのは、ホエイ独特の乳臭さが苦手な人、そしてヴィーガンや宗教上の理由で動物性の食品を摂れない人。ソイでも痩せるし筋肉もつくので、当てはまるなら迷わずソイでよいという立場をとっている。
ブランドは好みの問題: どのブランドを飲めばいいかについては、最近のプロテインはどれも味がよく、1食あたりのタンパク質も20gを超えるのが普通なので、栄養面で外れを引く方が難しいという見方をする。だからブランド選びは服選びと同じで個人の好みであり、こだわりがないならコスパで決めてよいとしている。
コスパと味の選び方: 視聴者アンケートではザバス、マイプロテイン、エクスプロージョンの順に飲まれていたが、ザバスは1杯あたりの値段が安い製品の倍以上でコスパはよくない。コンビニで買える手軽さがあるので、外出先の応急処置には向く。安さで選ぶなら大きなセール時のマイプロテインか、常時安く早く届くエクスプロージョン。味は個人差が大きいので、1食分ずつ入ったお試しパックで自分に合う系統を確かめてからまとめ買いするのがよい。
解説動画(海外・英語): The Smartest Way To Use Protein To Build Muscle (Science Explained)/Jeff Nippard
WHOの0.8g/kgは筋肥大には足りない: 動画は冒頭で「1日300〜400g」「1ポンドあたり1.5g」「1ポンドあたり1g」「1ポンドあたり0.82g」「1.2g/kg」「1.6g/kg」と食い違う主張を並べ、混乱を整理すると宣言する。まず一般的な健康維持の観点では、WHOの推奨は体重1kgあたり0.8g(1ポンドあたり0.36g)。80kg(約180ポンド)の人なら1日約65gで、欧米型の食事では外しにくい量だという。実例として挽き七面鳥とご飯のボウルに牛乳1杯で65gに届くと示している。ただしこの数字はウェイトトレーニングを想定しておらず、筋肥大を支える、まして最大化するには明らかに足りないというのがスポーツ栄養研究の一致した結論。なお日本の一般的な食事量では自然に65gへ届くとは限らない。
増量・減量・リコンプで変える1日量: 増量期は体が十分に食べられていて筋肉が燃料として分解されにくいため、必要量はむしろ少なく1.6〜2.2g/kg(0.7〜1g/ポンド)。80kgなら1日125〜180gにあたる。減量(カット)中はカロリーも体脂肪もグリコーゲンも少なく筋肉が分解されやすいので1.8〜2.7g/kg(0.8〜1.2g/ポンド)まで引き上げる。すでにかなり絞れていて追い込んでいる人は上限寄り、体脂肪が多く趣味レベルなら下限で十分。リコンプ(維持カロリーで増量と減量を同時に狙う)は増量(バルク)と同じ数字でよく、やや高めにする利点もあるとする。以前は除脂肪体重ベースの計算式を使っていたが体脂肪率を引く手順が分かりにくかったため、研究者Eric Helmsの案として過体重・肥満の人は身長1cmあたり1g(183cmなら183g)という簡便法を紹介している。
1食20〜25gで頭打ち、という説への反論: 「1食で吸収できるタンパク質の量」の答えは実質「全部」。吸収とは小腸から血中へ移ることを指すだけで、吸収されたからといって筋肉に使われるとは限らない。本当の問いは1食でどれだけ使えるかで、初期の研究は1食20〜25gで同化反応が頭打ちになるとしたが、Nippardは懐疑的だと述べる。根拠として、1日1〜2食で1食あたり50〜100gを摂る断食実践者が十分に筋肉を付けていること、2016年の研究でホエイ40gが20gより筋タンパク合成が高かったこと、同じく2016年の研究でタンパク質70g分を含む牛肉の食事が35g分の食事を上回ったことを挙げる。それでも1食あたりより1日合計のほうがはるかに重要で、消化面と1日を通して合成を高く保つ面から3〜5食に分けるのが多くの専門家の推奨。2食でも6食でも1日量が足りていれば筋肉は付く。
ホエイはロイシン効率で最上位に来る: タンパク質の質はロイシンの量に大きく左右される。ロイシンがmTORを動かす引き金になり、そこから新しい筋肉の合成が始まるためだ。1食の同化反応を最大化する目安はロイシン3gで、この基準で食品を並べるとホエイが表の最上位に来る。ホエイ29g・145kcalで3gに届く一方、鶏むね肉ではタンパク質40g・約200kcal、全粒粉パンだと2,000kcal超を食べる必要がある。動物性は植物性よりカロリーあたりのロイシンが多いが、ソイプロテイン・ピー・玄米のアイソレートは200kcal未満で3gに届くのでこの差はほぼ消える。他の必須アミノ酸はDIAASスコアで見て乳・動物性が上位。ただしこれらの表は単独で食べた場合の比較で、実際は複数の食品を組み合わせるため1日量さえ足りていれば不足しにくい。ロイシンやBCAA、EAAの単体サプリも、1日の総量が足りているかぎり通常は必要ないとしている。ヴィーガンは範囲の上限寄りにするか、ピーと玄米を混ぜてホエイに近いアミノ酸組成にした「ヴィーガンホエイ」を使うとよい。なおこの動画はWPCとWPIの製法差そのものには触れていない。
摂るタイミングと高タンパクの安全性: トレーニング後30分以内に摂らないとその日の練習が無駄になる、という考えは何年も前に否定されている。実際にはトレーニング前の食事と後の食事がおおよそ4〜6時間以内に収まっていれば同化反応は最大化される。例外は空腹状態でのトレーニングで、その場合はできるだけ早く摂る。あまり語られないが重要なのが就寝前で、Jorn TrommelenとLuc van Loonの研究はここを見逃せない摂取機会と位置づけ、睡眠という絶食に入る前に約40gを勧めている(Nippard本人もこれを目安にしている)。一方、消化の遅いカゼインプロテインを就寝前と朝で比べた縦断研究2件は8〜10週間で有意差なしだったが、被験者の総摂取量が2g/kgと高かった点が指摘される。安全性については国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドが、健康で運動している人において高タンパク摂取が健康リスクをもたらすという対照試験の証拠は無いとしており、4.4g/kg(1ポンドあたり2g)でも有害な影響は一貫して報告されていない。これは健康な人を対象とした話で、腎臓などに持病がある場合は当てはまらないため医療者に相談すること。