相場が大きく下がったとき
過去の下落の深さと戻りを知り、行動を決めておく。
相場が大きく下がったときに最初に見るのは、値段ではなくお金を使う時期だ。数年のうちに使うお金が株式に入っているなら、下落は計画の問題になる。使うのが10年以上先なら、下落は途中の出来事として扱える。株式は短期では値動きが大きく、近い目標のお金を株式中心に置くのは向かない(米国証券取引委員会)。
次に、下げの大きさを下落率と指数の名前で測る。株価の水準が高いほど、同じ率の下落でも値幅は大きく見えるので、下げ幅の順位が大きく報じられても、率で並べ直すと過去の暴落とは桁が違うことが多い。2008年 リーマン・ショックではS&P500が約57%下げ、高値を取り戻すまで約5年5か月かかった。2020年 コロナ・ショックでは約1か月で約34%下げ、約半年で戻った。1990年 日本のバブル崩壊では日経平均株価が約80%下げ、最高値を上回るまで約34年かかった。戻りの速さは毎回違う。
手順は、下がる前に決めておく。積み立ては設定のまま続け、売るのは、使う時期が近づいたときと生活資金が足りなくなったときに限る。株式と債券などの比率が決めた配分から大きくずれたら、多すぎる側を売るか、少ない側を買い足すか、積み立ての配分を変えて戻す(米国証券取引委員会)。新しく入れるお金で戻せば、売って税を払わずに済む。
やりがちな失敗は、下げた後に売り、戻ってから買い直すことだ。主要な国の株式市場のほとんどで、投資家が実際に得た収益は、お金を出し入れした時期のせいで、買って持ち続けた場合の収益を系統的に下回った(Dichev、2007年の論文)。損を重く感じる損失回避に、成績を頻繁に確かめる習慣が重なると、株式を持ち続けにくくなる。ベナルツィとセイラーは、この組み合わせを「近視眼的な損失回避」と名づけた(1995年の論文)。下げている間は評価額を開く回数を減らすことも手当てになる(見すぎることの害)。
借りたお金で買っている場合は話が別になる。信用取引やFX(外国為替証拠金取引)は、下落で追証(おいしょう)を求められ、待つという選択肢そのものが消える。下げを取り返そうと売買を増やすリベンジ取引や、根拠の無い買い増しのナンピン地獄も、下落の局面で起きやすい。NISA口座で値下がりしたまま売ると、損失をほかの口座の利益と通算できない点も覚えておく。
