サンクコスト

損を嫌う

効く場面: 売るとき

取り返せないお金が、判断を縛る

どういうクセ?

すでに支払ってしまい、何をしても戻ってこない費用のことです。どの選択をしても失う額は同じなので、比べるのはこれから先の得失のはずですが、人は「ここまで払ったのだから」と考えます。Roth ら(2014年)は、お金の埋没費用を扱った研究から98件の効果量を集めたメタ分析で、この傾向が現れると報告しています。強さは判断の種類で異なり、年配の人は若い人より陥りにくいという結果も出ています。

相場で何が起きるか

損失を抱えた投資先に追加投資する(ナンピン地獄)、詐欺と気づいた後も出金手数料を払い続ける(出金できない口座)。どちらも、これまで投じた額を守ろうとして、失う額を増やしています。Intermittent Diversion は、背景に「無駄にしたと認めたくない」気持ちと損失回避があると説明しています。手を引けば、損が確定してしまうからです。

仕組みで防ぐ

「今日、この状況をゼロから始めるとしたら、どうするか」という問いに置き換えてください。やめるのが正解という話ではなく、続ける理由が今後の見込みにあるかを見ます。すたでぃずんだは、使う上限を先に決めておくことを挙げています。Wieber ら(2015年)は、2つの実験で、悪い知らせを受けたグループのうち、第三者の目で見る目標に「もし〜なら」の計画を組み合わせたグループだけが、投入を減らすか抑えたと報告しています。

出典

  1. 論文・英語 Stefan Roth, Thomas Robbert, Lennart Straus(Business Research)(2014) On the sunk-cost effect in economic decision-making: a meta-analytic review
  2. 論文・英語 Frank Wieber, J. Lukas Thürmer, Peter M. Gollwitzer(Social Psychological and Personality Science)(2015) Attenuating the Escalation of Commitment to a Faltering Project in Decision-Making Groups
  3. 動画・英語 Intermittent Diversion The Sunk Cost Fallacy: What is it and why does it happen?
  4. 動画 すたでぃずんだ なぜ損すると分かっててもやめられないのか?もったいない気持ちが生む心理、サンクコストバイアスとは?【ずんだもん&ゆっくり解説】

解説動画: 【音声のみの講座】経済学超入門『サンクコスト(埋没費用)』【聞くだけ】/mogi juku 茂木経済塾

無料のゲームから考える: 経済学の入門講座。スマートフォンの無料ゲームがなぜ成立し、なぜ成功するのかを、サンクコスト(埋没費用)から解き明かす構成になっている。

最初の課金はごく小さい: 無料で続けていると行き詰まる時が来る。あと1個だけアイテムが足りない、あと1枚だけカードが足りない、チームに迷惑がかかる——そんな些細な理由でほんの少額を課金するところから始まる。

なぜ止まらなくなるのか: いったん投じたものが戻らないと分かっていても、ここまで払ったのだから、という理由で次の判断が縛られる。投資で含み損を抱えた銘柄に追加投資してしまう構造と、まったく同じ形をしている。